紀行

FWA特別ウオーク(一泊バスウオーク)
アプトの道と旧中山道を歩く


水谷重光
 24年6月2日予定通り藤沢駅前を出発、上毛地方へと向かう。運よく土曜日にもかかわらず、スタート
富岡製糸場
から道路も比較的すいていて、ほぼ予定通りに富岡製糸場に到着。ここは以前に上信電鉄線から遥かに望んだことはあったが、実際に見学するのは初めてである。
外観はレンガ造りで立派なもの。各ブロックごとに柱があるが、これが木筋と聞いてびっくり。しかし昨年3月の東日本大震災でもびくともしなかったのであるから、この技術もたいしたものである。
工場の中に入ってみると防塵のカバーはされているがちょっと手を入れればすぐにでも動かせそう、機械周りの上部には銅製の桶のようなコンベアー状のものが設置されている。機械に送り込むための繭を柔らかく保つために温水を入れてのコンベアーだそうである。おそらく昭和に入って取りつけられたのだと思うが想像以上に近代化されていたことが窺える。
もっと驚いたのは、労働管理である。その時代の封建制度が厳しいなかで、しっかりと週休制がとられており、しかも能率給まで取り入れ技能に応じて1級〜3級まで定められ能力に合わせて給与も改定されることになっていたというから驚きである。この後繭の倉庫を見学したが、ここは展示場になっていて製紙の実演までやっていたが、繭から糸を引き出す速度がかなりのスピードである。
そのあと安中市に移り安中宿、板鼻塾などを散策、安中教会、武家長屋、新島襄旧宅などを見学したが、散策している間、人っ子一人会わない。特に土曜日であるのに外で遊んでいる子供が一人もいない光景に驚いた。

         
2日目は碓氷峠とアプト式機関車の活躍したアプト道の散策であった。まずアプト道の起点となるJR横川駅裏の駐車場で軽くストレッチ、碓氷関所跡を通ってアプト道に入る。入口にはアプトに利用したラックレールが敷きつめられている。このあたりから粘着運転になって活躍したEF63型の電気機関車と特急用電車の189系を見ることができる。この入口にせっかくのアプトに使用したラックレールがあるのだから、昔の使用状況を知るために組み立てて見学できるようにすればよいのにと感じたがやむを得ない。
そこから
アプト鉄道跡・めがね橋
アプト道を歩いたが峠の湯までは上りといっても、せいぜい20〜30パーミル程度の上りで楽である。峠の湯に降りるところで、トンネルを通して先の方を眺めると勾配がきつそうである。いったん、ここでアプト道を離れバスで熊ノ平に向かう。途中めがね橋で記念写真を撮りアプト折り返し点に到着。
ここから、ほぼフリーウォークで散策を楽しむ。勾配もかなりきつい、またトンネルも長いものや、曲がりくねったもの、途中に煙りぬきのあるところを楽しみながら歩いた。おそらくこの中に最大勾配の66〜7パーミルの勾配の地点があるのだろうが、残念ながらどの地点か分からなかった。

その後は坂本宿を散策して、いよいよ最後のイベント、おぎのやの昔ながらの味の峠の釜めしを食べ、峠の湯につかって終了となった。
今回のバスウォークでは、富岡製糸場やアプト鉄道など、明治初期に外国人の多少の指導があったにせよ、あらためて日本人の優秀さを再認識した事であった。