紀行


にいがた湊まちしもまち歴史ウオーク


 池内 淑皓
毎年恒例のバスウオークが日本海側に行くのは今回で二回目である。
この大会は、オールジャパンウオーキングカップ、関東甲信越マーチングリーグ(KKML)、日本開国セブンハーバーズリーグ、「美しい日本の歩きたくなるみち」500選、ウオーク日本1800とたくさんの冠が付き、参加者の中にはかなりの方々がそれらの認定を目標に歩いている感じを受けた。
 大会二日目には表彰式が行われ、FWAからは斎藤郁子さんがスーパーマスターウォーカーの表彰を受け、長山元美さん、西澤久裕さん、福井正彦さんがKKMLの表彰を受けた。いずれも歩く達人達だ。

 新潟は昔の国名で言えば「越(こし)」の国、七世紀後半の分国によって越前、越中、越後の国に分かれた。当時の都から見れば最も奥まった国で、北の境には標高555mの日本国山がある、大和朝廷が東へ勢力を伸ばし、ここが蝦夷地との境界になっていた。中世には上杉謙信が君臨し、相模まで進出して、あわや小田原城まで攻め込む気配を見せた。
陸上競技場をスタート
 地形的には日本最長の信濃川が越後平野を横切る。この川、源流を甲武信ヶ岳に求め千曲川と名乗り、信濃の国を潤す。新潟に入り始めて「信濃川」と名を変えて日本海に注ぐ、総延長367kmの大河である。
 殆どの河川は直角に海に注ぐが、信濃川は北に向かって斜めに注ぐ。その河口に新しく出来た「潟」が新潟である。上流からの大量の堆積物と、大陸からの強い季節風によって土砂が運ばれ、川が曲げられたと言う。そして昭和47年信濃川の氾濫を防ぐため、関屋分水路が完成すると潟は新潟島となった。

 第4回の大会は、この新潟島を巡るウォーキングコースとなっている。
道は旧小澤家住宅前を通る
6月8日(土)大会第一日目は新潟島を一周する18kmを歩いた。信濃川河口から日本海側に出て、防風林の中の西海岸公園遊歩道を快適に歩く、全ての樹木が海側から陸側に斜めに生えている、いかに海からの季節風が強いか良く分かる。
 関分記念公園でお弁当を広げ、午後は信濃川沿いのサイクリングコースを歩き、ゴールに向かった。

 大会第二日目は新潟島の古町を抜ける「しもまちコース15km」に参加した。コースは一旦信濃川の河口に出て、湾口を結ぶ長さ1,423mの海底トンネル内を通る、涼しくて気持ち良いが、もし大地震が来たら怖いなと思いつつ、足早に通り抜けた。

 今日のウォークコースハイライトの一つである「旧小澤家住宅」の前を通る、新潟市の文化財に指定されているこの住宅、江戸時代北前船の交易で財を成した商家で、明治期町屋の典型的な例で、豪商の屋敷構えを構成する一連の施設がほぼその
古町の商店街を通る
まま残されている。

 道は古町通りを抜けて行く、明暦元年(1655)に設けられた歴史ある街並みで、商業の中心地として新潟を支えて来たが、最近少し元気がないと云う、新幹線のある駅の方が賑やかになってしまったと、お店のおばさんが寂しく話してくれた。
 白山神社の鳥居を潜れば間もなくゴールだ。日帰り温泉に立ち寄ってビールでの乾杯が待ち遠しい。