寄り道さん歩

 寅さん歩 その8−4

東京発祥之地めぐり 〜グルメ編2〜

平野武宏


カレーは安政6年(1859年)横浜港の開港で英国船によって日本へもたらされたとの通説で、明治期には明治天皇やクラーク博士の札幌農学校・海軍などで食べたとの記録があるそうです。
今や国民的な食べ物となったカレーですが、当初の欧風カレーは日本人に なじまず、その後日本人の好みに合わせた改良カレーやカレーを使ったアイディア商品が多く生まれています。その発祥之地を訪ねました。
 
インドカレー発祥之地  新宿中村屋本店  
新宿区新宿3-26-13  最寄駅 JR山手線 新宿駅
 

もちろん発祥之地はインドですが、大正4年(1922年)独立運動でイギリス政府に追われ日本に亡命したボース氏を匿ったのが、中村屋創業者の相馬夫妻で、相馬家に強く感謝していたボース氏は昭和2年(1927年)中村屋にインドカレーを名物にした喫茶部をつくり本場のインドカレーを提供したそうです。当初はインド米や強烈なスパイスの香りが日本人に受け入れられず苦戦。その後相馬夫妻が改良を加えたものが、今の「純インドカリー」(1,470円)です。骨付きチキンが入り美味くいただきました。

 写真はライスにかける前と後です。

場所は新宿駅東口にあり、ビツクカメラの看板で見えにくいですが、高野本店ビル6Fに新宿中村屋本店レストランがあります。新宿駅側のビックカメラとヨドバシカメラの間に高野ビルの入口があります。

カツカレー発祥之地  グリルスイス 
銀座3-5-16 最寄駅 東京メトロ銀座線 銀座駅
銀座3丁目信号からガス灯通りを右折すると写真の屋根が見えます。
元祖カツカレー(1,050円)と千葉カツレツカレー(1,365円)がありました。カツレツカレーは読売巨人軍 千葉茂氏が「カレーにカツをのせて」と要望して出来たメニューで、千葉カツレツカレーは大きな上ロースカツがのっています。
まずは元祖カツカレーを美味しくいただきました。
寅次郎の食べる様子を見ていた、おかみさん「いい食べっぷり!次は是非、千葉カツレツカレーを!」とお褒めの言葉(?)をいただき、再度訪ねることに・・女性のおだてに弱い寅次郎でした。
元祖カツカレー(1,050円)     千葉カツレツカレー(1,365円)

ボリュームたっぷりの千葉カツレツカレーを完食した寅次郎におかみさん「これが残さず食べられるのは健康の証拠!」「健康診断でまた来ます」と寅次郎。


カレー南蛮発祥之地  三朝庵 
新宿区馬場下町62  最寄駅 東京メトロ東西線 早稲田駅
発祥は大阪・東京と諸説あり。
東京はグルメ編その1で「卵とじカツ丼発祥之地」として紹介した三朝庵で再度の訪問です。
創業は明治15年。初代店主がはやり始めたカレーライスから発案したとのこと。
白い湯気が上がるカレーの海。
つゆは濃いめでカレーの風味がよく効いた元祖カレー南蛮です。(780円)
右はそば湯。
でも使わずに残りのカレーは飲み干せる味です。
そば湯は血液をきれいにする効果があると言われた寅次郎、食後にあわてて、そば湯を飲み干しました。夏に食べるカレー南蛮の味も又格別でした。
目の前は穴八幡宮。小児の蟲封じ祈祷や将軍吉宗の世継ぎの疱瘡平癒祈願で奉納した高田馬場流鏑馬で有名。「一陽来復」のお札を寅次郎母が大晦日に貼っていたのを思い出す(このお札は金銀融通のお守りだと知り、母の苦労を思い知りました)
カレーパン発祥之地  カトレア
江東区森下1-6-10 最寄駅 都営地下鉄大江戸線 森下駅前

深川散歩で芭蕉記念館から深川神明宮を訪ね、帰ると途中に地下鉄森下駅近くで「元祖カレーパンの店」を見つけました。

右の写真はお店の前の看板の拡大です。

← 袋入り









← 袋から出した

カトレアの創業は明治10年(1877年)で昭和2年(1927年)二代目が当時洋食の花形だった「とんかつ」にインスピレーションを受け、カレー入りのパンを「洋食パン」の名前で実用新案を申請したのが始まりとのこと。
具が詰まったカレーパン168円。元祖の味をおいしくいただきました。

ハヤシライス発祥之地  日本橋 丸善 
中央区日本橋2-3-10  最寄駅 JR東京駅

 
発祥之地シリーズを読んだ友人から情報をいただき、東京駅八重洲北口から洋書で有名な日本橋 丸善を訪問、3階カフェにありました。
丸善 創業者は福沢諭吉門下の早矢仕 有的(はやし ゆうてき)氏で明治2年(1869年)今までの世襲を排除し、経営と所有を分離した日本初の近代的な会社「丸屋商社」として誕生。
会社登記簿で代表者を「丸屋善八」と言う架空の人材を記載したことから、社名の「丸善」が生まれたとのこと。
丸善の百年史には「早矢仕氏はヘボン氏など日本を訪れていた外国人との親交があり、又西洋料理にもなじみがあったため、友人が来ると有り合わせの肉類や野菜類をゴッタ煮にして、飯を添えて饗応するのが常でした、やがて人々はこの料理を《早矢仕さんのライス》と言い、ついにはハヤシライスとしてレストランのメニューにまで書かれるようになった」との一節があるそうです。
     

早矢仕ライス(1,000円)

お皿の底が浅く、寅次郎には量が少し物足りませんでしたが、元祖の味をかみしめながらいただきました。

        ―グルメ編3へ続くー  平野 寅次郎 拝