随筆
田所 一昭 |
実家に帰郷する機会があったので我が郷里をまとまりなく紹介してみたい。 昨今は司馬遼太郎「坂の上の雲」ムードがなおも高まる松山だが、どちらかというと夏目漱石「坊ちゃん」の町だろう。市の中心は松山城。深い緑に囲まれた小山にありここから放射線状に町が広がる。慶長7年から四半世紀をかけて加藤嘉明が築城した松山城は日本三大連立式平山城の天守でありその天守からは遠く瀬戸内海まで360度見渡すことができる。人口約52万人の四国最大の町である。 忘れてならないのは日本最古の温泉「道後温泉」。夏目漱石、正岡子規、秋山好古、秋山真之も足しげく通った名湯である。JR松山駅から松山城を周回し道後温泉まで走っている路面電車に揺られて久しぶりに入湯した。相変わらずの熱い湯だったが湯上りは最高だった。何しろ道後温泉は日本では珍しい「沸かしていない源泉掛け流し」で、源泉は20〜50度。この低い温度と高い温度のお湯を混ぜ合わせて適温にしているとのこと。 ところで遊行寺ゆかりの時宗開祖「一遍上人」は伊予の豪族河野氏一族であることは意外と知られてないようです。上人は鎌倉時代に遊行されたウォーカーですが四国では弘法大師の四国八十八箇所ウォーカーがポピュラー。 さて、話は前後するが「坂の上の雲」の単行本が発売された時、新入社員の青年?は明日の仕事のことも忘れてむさぼり読んだ記憶が思い起こされます(まさに高度成長期に闊歩する団塊世代)。その後、年数が経過したあともそのときの自分の身を重ねて読んだものでした。我が郷里の生んだ偉人の業績に触れる機会に恵まれ、今も我が書架に鎮座しております。 10月4日〜6日に開催される「瀬戸内しまなみ海道スリーデーマーチ」に参加予定ですので、その際にまた松山城、道後温泉に赴き郷里の良さに浸りたいものです。 |