随筆
江尻 忠正 |
競歩競技は、歩く競争で「走ったり飛んだりしてはならない」との規則がありレース中の歩行を審判員が審判し、歩行のルール違反や疑わしい歩行には、違反認定しで失格とする規則が適用されます。
従来は「走った・飛んでいる」の判定の個人差や誤審防止のため判定項目(10項目以上)を増やして対応していた判定方法を、現在は国際ルールの「体重の掛っている膝は伸びている」と「どちらかの足が地面に着いている」の2点判定に統一され、従来重視された歩く姿勢の良否や腕の振りの制約が緩和されたことと、コースの設定が、片道コースや折り返しコースから、2~5kmの周回コースが多くなったことで審判が容易になり、選手自身のトレーニングや競技方法にも影響しスピード化が進んでいます。 近年の競技は世界中の情報を駆使し、卓越したコーチの指導を受け、身体能力を鍛え・競技技能を磨くことが当たり前となっています。若い時から英才教育を受け育つ選手が多くなり、大幅に選手層の若返りが進み日本でも記録が私の現役時代より10km で10分近く速くなりました。近い将来、国際大会で好成績が期待出来る日も近いのではと考えられています。
東京オリンピック後の私は、加齢と共に現役時の身体酷使や特定部位の無理な鍛錬強化のケア不足の後遺症か、筋肉の衰えと共に、身体各部位のバランスに狂いが生じ、身体の特定部位に痛みやしびれ・痙攣が生じることが多くなりました。今迄の日常ケアの不足を自覚しながら、病院・治療院の日参が通常化している状態で、如何にも私らしいことと苦笑しながら治療を進めています。 80歳に近い今日まで私の人生のいろんな場面で、裏方として見守って頂いた多くの人達の存在が大変うれしく感じ「俺は一人ではない」と勇気を頂いたこと、親身に忠告や指導頂いた人達によって支えられて今日のあることを感謝しています。 終戦から10年、昭和30年代は、みんなが復興に躍起になっていた時代に、みんなで支え合い人間的な温もりで支えて頂いた多くの人達の居たことを決して忘れてはならないと思い、良い人達との巡り合えたことを大変うれしく思っています。(了) |