(県外会員便り)
飯塚弘夫 (静岡県伊豆市在住) |
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「富士は日本一の山」と歌われた「富士山」がようやく今年2013年6月に世界文化遺産として、25の構成資産と、ともにわが国では、13番目に認定登録され、山梨・静岡の両県人ともに盛り上がり、喜びにわいております。富士山の成立ちなどは、山梨の田村様が、会報で二回におよび御説明されておりますので、私は知ってても、知らなくてもいい富士山にまつわるこぼれ話をちょっと。
今年66回を迎える富士登山競走は、標高770mの富士吉田市役所から標高3,711m富士山頂、久須志神社まで標高差3,000m、約21kmの距離を走る過酷なレース。一般的な体力の人が歩くと10時間以上かかる。因みにこの大会記録は2時間27分41秒だそうです。 1872年に女人禁制が解除されるまで、女性は吉田口登山道の二合目にあった御室浅間神社までしか登ることが出来なかった。しかし女人禁制解除の40年前(1832年)「高山たつ」という女性がちょんまげを結い、男装して登頂したという記録があるそうです。 また富士山は水の山でもありまして、山麓周囲いたる所に湧水地があります。わけても静岡県清水町にある柿田川湧水地は東洋一ともいわれ、地下35mより1秒間に約14t、24時間に約124万t。その内24万tが沼津市・三島市・熱海市・清水町・函南町の3市2町の飲料水として利用される。JR東海が30万t残り70万tが1.2km先で狩野川に合流し、駿河湾に流れ出ています。日本で一番短い一級河川でもあります。観光地として名高い富士宮の「白糸の滝」、ここでも1日16万tの水が高さ25mの岩間から流れおちています。 「滝」といえば、富士山に幻の滝といわれている場所が二カ所あります。一つは山梨県側の「大滝」と呼ばれています。静岡県側は、須走口登山道五合目から宝永火口よりの幕岩と呼ばれている付近で、気温10℃以上になると雪解け水が春のひと時だけ流れ出す、まさに幻の滝があります。毎年その時機を見はからって大勢の方が滝を見たさに訪れますが、一日待っても見られないなんて事もしばしばです。皆様の中にも大勢の方が、富士登山をされていると思いますが、まだの方はぜひ一度は登ってみてください。 体力が・・などとお思いの方、大丈夫です。宿泊地を登山道八合目より上、出来るだけ山頂付近の山小屋に宿泊。登山開始の朝も、ちょっと早目からゆっくり、体を山になじませながら登っていけば大概の方は登れます。私も昨年八十路を越えたので、3人の孫達に手をひかれ背を押されなどして、我が人生5度目の登頂をはたしました。晴天に恵まれ、一周3kmの山頂お鉢巡りもすませ、もう再び訪れることのない山の空気を胸いっぱい吸う事ができました。皆様にもぜひぜひ富士山頂の絶景を味わっていただきたいと思います。 最後に自分の町の自慢をひとつ、1939年(昭和14年)に開催されたニュ―ヨーク万国博覧会へ、日本の代表的な景色である富士山を、高さ8.2m、幅32.7m(268.14u)に及ぶ大パノラマ写真が日本政府より出品され、大称賛を博しました。当時指名を受けた「六桜社」(現コニカミノルタ)の技師が駿河、甲州、信州など、富士山回りを一巡し、適地を探した結果、当町の「達磨山」を選んだと言われています。駿河湾を前景に、左に南アルプス、右に箱根連山を従えた大パノラマは、まさに「日本一の展望地」。ぜひ一度お訪ねください。 |