紀行

 南九州を歩く

(2)

 平成26年2月9日    池 内 淑 皓

2014年1月25日(土)、26日(日) 鹿児島県指宿で「第22回いぶすき菜の花マーチ」が開催された、私はこの行事に便乗して薩摩半島南部を歩いた。武家屋敷、知覧特攻平和会館等の見聞は「南九州を歩く(1)」で紹介した。
本稿は、はちゃめちゃな菜の花マーチウオーク第一日目を紹介しよう。
1月25日(土)朝「いぶすき菜の花マーチ」の25kmコースを普通なら歩く予定であったが、出発してすぐコースを外れてJR日本最南端「西大山駅」の写真を撮りに行くことにした。
         以下写真を眺めながら歩いて見よう。
「指宿市、南さつま市、南九州市地図」  太平洋戦争時の知覧特攻基地は南九州市の北に位置する、開聞岳は指宿市の南端南シナ海に面している、番所鼻自然公園はJR指宿枕崎線で枕崎に向かう途中にある、この鉄路の終着はJR日本最南端の枕崎駅。
 「第22回 いぶすき菜の花マーチ」 大会紙
「大会第一日目のフラワーパークかごしま、スタート、ゴール コース地図」

 
大会第一日は枕崎線の大山駅を通り、鰻池から山川を経て九州自然歩道を歩いてゴールに向かう25kmコースを選択した。
「大会会場にて」 当日は緑線の25kmを歩く予定であったが、気が変わって徳光神社から、JR日本最南端の「西大山駅」に向かう。 写真の後方は開聞岳(924m)
「徳光神社(とっこうじんじゃ)」 何の変哲もないお宮であるが、日本の貴重な食料伝来ゆかりの神社。

鹿児島に”さつまいも”を広めた前田利右衛門を祀る。宝永二年(1705)琉球から”からいも(唐芋)”を持参してこの地に植えた、江戸幕府は飢饉に強い食物として、青木昆陽に命じて全国に広めさせた、薩摩から広まったという事から「さつまいも」と名付けた、荒地にも良く育つ。
「JR日本最南端の西大山駅」 背景の開聞岳(日本百名山の一つ)の位置が何ともぴったしだ。
「西大山駅舎全景」 もちろん無人駅、一日8本が行き来する、朝7:31の枕崎行が出た後は11:56まで電車は来ない。 駅の周りは畑で電車に乗る人はまず居ない。
「そらまめ畑から見た 開聞岳」 標高924m 深田久弥が選ぶ「日本百名山」の一つである、百名山では唯一千mに達しないが、その美しさは他の山々に劣らない。登山基地はJR開聞駅で、歩いて頂上へは3時間ほどで達するが、標高差が900mあるので注意が必要、海岸から一気に頂上に向かうのだ。
「きゃべつ畑から見た 開聞岳」 この山、見事な円錐形で薩摩富士とも呼ばれる、もともとは1500年前の噴火で誕生したが、貞観16年(874)と仁和元年(885)の大噴火でこの山となった。
知覧の特攻基地から飛び立った特攻機はこの開聞岳に向けて進路を取り、富士山に見立てて日本に別れを告げて沖縄へ向かったと云う。

西大山駅を撮影した私は、ウオークをやめて枕崎に行くことにした、電車は11:56までない、今の時間は9:25で2時間半近く待つことになる、そこでバスがあるか否か駅前のおみやげ屋さんで尋ねると、北へ20分歩いた県道241号線の「利永」という村にバスが来るという、そのバスに乗れば、乗り継ぎで枕崎に行けると教えてくれた。
部落を目指して一目散に歩く、途中畑でキャベツを収穫していたおじさんに「利永」への道筋とバス時刻を尋ねたら、今日は土曜日でバスは昼まで無いという、「バスで行くならこの先の開聞の町で他系統のバスがあるからそれに乗るべし」と教えてくれ、わざわざ開聞の町まで軽トラックで送ってくれた。
あわててバス停に行き時刻を見たら、アア無常、7分前にバスは出てしまった、目の前のタバコ屋で訪ねたらバスは正確で、もう昼まで来ないとの事、今から枕崎に行くのなら電車の方が早くて正確、と教えてくれた。
電車の時刻は開聞駅発12:04分だと言う、待ち時間が充分あるから「薩摩の国一宮にお参りしておいで」、と親切に教えてくれた。お礼に「かっぱえびせん」を買って、ポリポリかじりながら一宮神社に向かった。 
「開聞の町から見た開聞岳」 開聞岳本来の名は「ひらきき神之岳」という、国道226号線はここを通る、バス停は交差点の右にある、開聞駅は交差点を右折して5分の所にある、一宮はここからすぐの距離。
「薩摩國一宮 枚聞神社(ひらききじんじゃ)」 天照大神の創祀という、真後ろに聳える開聞岳が祭神で、開聞岳は別名ひらきき岳と云う、頂上に奥の宮御嶽神社が鎮座する薩摩地方の総氏神。累代島津家の崇敬を受ける、神宝に国指定重要文化財 大永三年3月(1523)銘の「松梅蒔絵櫛笥化粧箱」がある、非常に高貴な女性の持ち物であった事が分かる。
  
枚聞神社見学の後開門駅に向かう、途中ラーメン屋さんに立ち寄っておばちゃんの作るラーメンを啜って、12:04発の電車に乗った。
「指宿枕崎線終着駅、JR日本最南端の枕崎駅」  ここから先鉄路はない
「鉄ちゃん達の撮影場所」 私も記念にパチリ 
「枕崎駅時刻表」 私が乗って来た電車は12:49着、折り返し出発は13:18

30分で街中をちょいと歩いて、鰹節を一本買って電車に乗り込んだ、日本の鰹節の70%がここ枕崎で生産されると言う。「かつおラーメン」、「枕崎鰹船人めし」食べそこなった。 
西大山駅まで電車に乗り、またここから歩いてゴールのフラワーパークかごしままで戻った。

 この項完(3)に続く