紀行

健康ご利益めぐり-12 墨田区−1


平野 武宏

墨田区の健康ご利益です。まずは江東区に近い地域を大江戸線 森下駅からスタートです。東京スカイツリーがどこからでも見られるご利益めぐりです。
最寄駅は代表例です。寄り道の価格は訪問当時のものです。

[墨田区]

[咳]要津寺(ようしんじ) 汐時地蔵
  千歳2-1-16 
                    最寄駅 大江戸線 森下駅
      
       
駅から両国方面へ行くと、水道局営業所手前にお寺があります。
代々旗本として仕え、五代将軍綱吉に取り立てられ、下総関宿 藩主となった牧野家の墓所がある臨済宗妙心寺派のお寺です(写真上右)墓地は非公開、六間川から引き揚げたので海水の干潮で体が乾いたり湿ったりするという汐時地蔵にはお目にかかれませんでしたが、境内には平和地蔵(写真上左)が二体ありました。
明治40年11月の東京朝日新聞に紹介記事「東京の迷信では汐時地蔵は御丈二尺許りの小ぼとけなれど、咳の病に非常にご利益があると近在からわざわざ参拝。願掛けには寺から小さな拍子木をいただき、満願の時に拍子木を新調して添えて奉納。拍子木は何のためかと言うと病中の子供のおもちゃ、大人は首からかけて咳がコンコンと二つ出るとチョンチョンと二つ叩く、と大いに洒落ている」があるとのこと。又、夜回りの火の番が喘息もちでお地蔵様の前で拍子木を打ち、祈願したとの説もあるとか。 

         
[痰・咳・百日咳]千栄院(ちえいいん) たんぼとけ  太平1-24-2                         最寄駅 JR錦糸町駅
                   
 両国から蔵前橋通りを歩き、大横川親水公園の先にありました。
この辺りは池波正太郎の鬼平犯科帳の舞台で「鬼平情景」の立看板がありました。千栄院と陽運院は日蓮宗の法恩寺(写真上右)の末寺で太田道灌ゆかりのお寺です。写真上左の東京スカイツリーの前に見える門が法恩院の山門。右手前の屋根が「たんぼとけ霊場」(写真下右)がある千栄院です。痰の病で死んだ久七という男がいまわの際に同病の人を守護することを誓い、以後、際立った霊感を現したため「たんぼとけ霊場」として今に知られています。 

[眼]陽運院 太平1-25-12 最寄駅 JR錦糸町駅   
  

千栄院の向かいにある陽運院(写真上左)眼病守護に効験ありとされる「妙符」という日朝上人の護符を出したので、昔から「めぼし霊場」と呼ばれ、信仰を集めた陽運院です。

[眼・諸病平癒・長寿]能勢妙見堂 本所4-6-14 
                  最寄駅 浅草線 本所吾妻橋駅

 山門     本堂

大横川親水公園にかかる紅葉橋を渡るとあります。
安永3年(1856年)旗本 能勢頼直が摂津能勢の妙見堂の妙見大菩薩を自邸に祀ったものとのこと。
北辰(北極星)の神格化から生まれた妙見さまは国家を守り、災厄を除き、長寿をもたらすとして、平安時代頃から広く信仰されました。中でも「妙見(よく見える)」の字面から古くより眼病平癒の神として信仰を集めました。
勝海舟の父 小吉が息子のけがの快癒を願って水垢離を取った場所として名高いお寺です。
山門入り左に勝海舟の銅像(写真右)があります。

   
[脚気・足]圓通寺 北向ほうずき地蔵  押上2-39 
                最寄駅 東武スカイツリーライン 曳舟駅


押上駅から住所を頼りに探しました。
本堂(写真上右)の手前右側に北向地蔵(写真上左)がありました。足元を囲む水盤の水で手を清めたのち、束子で地蔵を洗えば脚気をはじめ足の諸病が治るとの伝えあり。
名前の由来はお地蔵様を洗ったら、ほうずきを二つお寺からいただき、一つは二勺(36ミリリットル)の水で実を煎じて飲み、袋は天井から吊るす。
もう一つは光明真言を唱えながら患部を擦る。
擦った方は川に流し、袋は病が治ったら新しいほうずき二つを添えて地蔵に供える。
遠方の人はまた来るのが大変ならば自宅で燃やしても良いそうです。後ろを振り向くと東京スカイツリーが山門越しにそびえていました。

[こぼれ話] 飛木稲荷神社のご神木

圓通寺の入口左にありました。
説明板には「古老の言い伝えによると、大昔のある時に暴風雨の際、どこからか「いちょうの枝が飛んできてこの地に刺さったり、そしていつの間にか亭亭とそびえたちました。
これは異常なことだと人々は稲荷神社をお祀りしたのが始まりとのこと。
また昭和20年(1945年)3月10日の東京大空襲でご神木は我が身を焦がし、懸命に炎をくい止め、町の延焼を防ぎました。この「身代わり焼けいちょう」のおがげで、多くの人たちが助かりました。そして数年を経て、また緑の芽を吹き出しました。たくましく生き延びた「縁起のいちょう」として今の世にあって、生きる勇気と希望を与えています」と記載。
説明板を読みながら「とても 良い話だ!」と感激した寅次郎でした。

[喉]三輪里稲荷神社(こんにゃく稲荷)  八広3-8-3  
                      最寄駅 押上駅からバス利用

青戸車庫行のバスに乗り、八広三丁目で降りて、住所で探しました。
説明板によると「慶長19年(1614年)出羽国(山形県)湯殿山の大日坊長が大畑村(八広、東墨田、立花の一部)の総鎮守として羽黒大神の御分霊を勧請し、三輪里大明神として鎮座した。通称「こんにゃく稲荷」と呼ばれ信仰を集めた。
そのいわれは「初午の日に当社がこんにゃくの護符を授与され、これを煎じて服用すれば喉や風邪の病に効くとされることによる」と記載。
こんにゃくを青竹に刺して干したもので、二合の水でこれを三本煎じて飲めば、喉の病や風邪に霊験新たかと言われているとのこと。
 

[寄り道]ちゃんこ道場     最寄駅 大江戸線 両国駅

森下から両国方面を歩いていた時にちょうど開店ののれんを出していて「具だくさんの海鮮丼」(980円)の看板につられて入ったお店です。
両国相撲博物館の近くで、看板に偽りはありませんでした。
次回も墨田区のご利益めぐりです。

平野 寅次郎 拝