1か月ほど前に行われた各駅停車ウォーク②「湘南モノレール」のときはまだ暖かかったけれど、今日の湘南台公園では霜柱が出迎えてくれました。早くから来て受付開始を待っていた参加者の皆さんもいつもより物静かに寒さに耐えているように感じました。それでも空は快晴で空気は澄んでおり、景色を楽しむには悪くないなと思い直して準備に取り掛かりました。
各駅停車ウォークの運営方針は、一言でいうと「遊び心をもって歩こう」ということです。まず、訪れる駅ごとにスタッフを配置し、あらかじめ地図に記載した駅ごとのチェック欄に違う色のマーカーペンでチェックを入れ、ゴールするとカラフルな思い出の地図が出来上がるという新しい趣向があります。また、駅から駅へのルートは地図に記載されているものにこだわらず参加者が自由に選択してよろしいし、体調不良やゆっくりしすぎる参加者へはスタッフから積極的に電車利用を勧める等、普通の例会よりも大きめの自由度を加味しています。このような方針は、回を重ねるごとにだんだんと参加者の理解と賛同を深めてきたのではないかと思います。
今日のコースは、当協会の今年の新企画である「各駅停車ウォーク」の最終回として、湘南台公園をスタートして小田急江ノ島線の六会日大前駅から片瀬江ノ島駅までの7駅をたどり、余力のある方にはさらに奥田公園まで歩いていただくというものです。小田急江ノ島線の湘南台駅から片瀬江ノ島駅までの8駅を結ぶ線路総延長は11.8kmですが、江ノ島電鉄線は藤沢駅から鎌倉駅まで15駅で線路総延長10kmです。このデータだけでみると、駅間距離は小田急江ノ島線が江ノ島電鉄線の2倍程度、総延長は1.2倍程度ということがわかります。しかしながら、各駅間の最短コースを結んで作ったウォーキングルートの距離は、小田急江ノ島線(湘南台公園~片瀬江ノ島駅)が15km、江ノ島電鉄線が10kmです。つまり、江ノ島電鉄線は全線にわたりウォーキングルートが線路に沿っているためウォーキングルートと線路の総延長がほぼ等しいのに対して小田急江ノ島線は線路とウォーキングルートが離れている割合が比較的大きいため線路延長よりもウォーキングルート延長の方が大きいのです。確かに、今回の小田急江ノ島線ウォークにおいては、線路際以外の田園風景や住宅街や坂道のたたずまいという多様な風景を楽しむことができたという感じがします。もちろん、江ノ島電鉄線はそのルートのほとんどが海岸線際を通るのに対して小田急江ノ島線は内陸と海岸を結ぶ南北の台地を通るという立地条件の違いも関係していると思います。いずれにせよ、藤沢市は地方都市にもかかわらず性格の異なる複数の鉄道が通っているおかげで今回のようなユニークな企画が生まれたといえるわけです。公共交通や自動車専用道路については高速度や効率を追求するだけではなく環境や安全にも十分な配慮が必要ですが、低速、低効率で環境や安全にフレンドリーなウォーキングの対象としてこれらをとらえることは意外と意味深いのではないかと考えさせられる例会でした。
(渡辺 正俊)
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