寄り道・道草82
関次商店と蔵カフェ

 八柳 修之

 旧東海道(43号線)を藤沢橋から西へ向かって歩くと、藤沢消防出張所(旧藤沢警察、江戸時代は問屋場であった)があり常光寺に入る右側角に関次商店がある。東海道に面した道路側にトタンに覆われた土蔵があるからすぐ分かる。現在はプロパン燃料店を営んでいるが、明治初年創業の米穀・肥料商。初代、関野次右衛門から続く古いお店で、現在の当主は4代目の関野静一氏である。この辺りから白旗にかけて、かつて米穀・肥料を扱う店が多くあった。
明治20年(1887)、藤沢の米穀肥料商組合が組織され会員29名のうち、21名が旧坂戸町、6名が白旗横町の商人であった。組合設立の中心となったのは、関野次右衛門(西坂戸町)と山本松五郎(白旗横町)であった。これら米穀肥料商は鉄道の開通による商業上における藤沢の発展に備えての組合結成であったとされる。現在、穀物蔵、肥料蔵、文書蔵の三つが残っており、国の登録文化財に指定されている。穀物蔵は明治19年(1886)築の土蔵で、木造、土蔵、切妻造、トタンぶき、穀物保存のため調湿性に優れ、いわば天然のクーラー、土壁がむき出しになっている構造が特徴とのことである。また肥料蔵は明治40年(1907)築、木骨石造、切妻、かわら葺、木骨に房州石の石蔵である。文書蔵は木造2階建て切妻、かわら、大正12〜14年頃築である。穀物蔵は藤沢宿のイベントの際、内部は公開されているから見学された方は多かろう。


 その穀物蔵が、この度、出来るだけ蔵内部の良さを残し改装し「パンの蔵風土」というドイツパンの製造販売と喫茶に変貌することになった。お店の経営は岩田さんと奥さんの若夫婦、5年の職人経験を経て1月23日(水)開店の運びとなった。自家培養の天然酵母を使ったパンと焼き菓子は藤沢の方々に満足いただける自信があるという。営業時間は8時から15時まで、定休日は月曜と火曜日。これまで藤沢宿にはお茶をするところがなかったので、藤沢宿を歩く人、イヤーラウンドウォーカーにとって蔵の雰囲気も味わえる憩いの場となろう。
参考資料:関次商店HP、「藤沢 わがまちの歩み」 児玉幸多  藤沢市文書館