随筆


80歳とウォーキング


鈴木 清

 まだ会社に勤務中でした私がウォーキングという言葉を知ったのは新聞の湘南版のコラムでした。小田原ツーデーマーチの記事の中にあった「初心者は10kmをえらんで歩くとよいでしょう」いう文章です。当時の私は初心者ですが、私が引きつけられたのは初心者という文字でなく10Kという距離でした。その10Kが子供のころを思い出させたのです。

 先の大戦で小学4年生の私は学童疎開を強いられていました。疎開先は千葉県外房の寒村です。都内の商店街育ちの子供が一夜にして家族と別れ旅立ちました。その村は五つの集落から成り立ち、私の住む家は一番端にあったので、小学校に通学するには、二つの集落を越えて行かなければ登校できなかったのです。片道5K 往復約10K、その10Kを!! 10Kならば歩けるだろうと、すぐに申し込みました。ウォーキング当日は晴天でした。途中でみかんをもらい楽しく歩き、意気揚々と帰って来たのを思い出します。

 まだ会社人間でしたがFWAに入会しました。あれから13年間、会員の皆様と同じく、KWAのパスポートをもらい仲間たちと歩き語らい、楽しいウォーキング生活を送らせていただいております。いま80歳ですができる限りウォーキングと付き合っていきたいと思います。またコース設定などご苦労の多いスタッフの方々に、いつもやさしく受け入れていただき感謝しております。