随筆
中村 弘道 |
私は古希を迎えた昨夏四国霊場八十八ヶ所順拝を終えた。お遍路は思いつきではなく日本百名山(一昨年完登)以前からの宿願で“お四国一人旅への好奇心・浪漫”とウォーキングや山岳登山で脚にも自信があったので。知人の体験談や当地協会発行『四国遍路ひとり歩き同行二人』を頼りに、梅雨明けを待ち7月16日に徳島入り。これにかける目標は
“通し打ちで高野山まで歩き諦めて帰らない” でした。そして出発前ににわか仕込みの写経《般若心経》を九十枚書きためた。いざ白装束・菅笠・金剛杖で霊山寺を出発したものの歩き遍路の姿は少ない。炎天下の街道、虫や蚊の出る山道、観光も諦めひたすら歩いた。日中も市街・住宅地、観光地と何処も人気がなく寂しい限り。札所は週末・休日には観光バスやマイカーの巡礼達で活気づきホッとした。その内台風情報も流れ・・夏の遍路歩きに悔やみがよぎった。 苦しい修行に心身を癒されたのは、宿の人達との交流や初めて体験する “お接待”であった。お接待は結願まで大小40回授かった。高知の終盤では疲労に加え台風も接近するなか、①窪川:民家に投宿させて戴いた上、私を気遣ってローカル線の乗車券まで戴いた。②足摺岬:関西の青年(車で遍路)に次の札所まで長距離の便乗をさせてもらった。お陰で台風をかわし愛媛入りでき、体力も温存できた。心温まるお接待に “歩き通す”目標は崩れたが、お大師様のご加護かと深く感謝・感激! その後、台風再来の影響(雨や曇り日が続く)も幸いして、体調も崩さずに香川入りでき、8月24日無事大窪寺で結願した。そして和歌山は慈尊院から町石道を歩み8月28日高野山奥之院を参詣しお遍路の旅は完結した。延べ46日間・徒歩約1000km、初めてのお遍路は上出来! 何よりも家族の協力に感謝し、元気に達成できた吾身を称え、合掌 “南無大師遍照金剛”。 |