県外会員便り

ふるさと富士(2)

田村 心一
(山梨県富士河口湖町在住)

 羊蹄山や岩木山、鳥海山そして開聞岳等々、全国に名を知られた山は多い。その名山に地名や旧藩名を頭につけ、蝦夷富士や津軽富士、出羽富士に薩摩富士など著名なふるさと富士は数多い。調査方法などは不明だが、ある調査によると全国には372山ものふるさと富士があるとのこと。

 茨城、長野、岡山の3県は特に多くて各々16山を有するというから驚く。本物富士?を有している静岡県は12山、山梨県にも2山存在する。神奈川県は、半原富士や三浦富士他に7山とあった。三浦富士は正式な山名も富士山だという。

 高さ(低さ?)を競うふるさと富士ではないが、小笠原諸島母島にある小富士が標高86mで、最も低いふるさと富士とされていた。だが秋田県秋田市に標高35mのふるさと富士があった。名称を明田富士(みょうでんふじ)という。鎌倉時代、富士太郎という豪族の領地があり、その館そばの山が名前の由来。ふもとから頂上征服まで、僅か2、3分の富士山だが、日本山岳会に正式認定されているという本格派の山である。

 更にもう一つ、秋田県には海抜0m!?の高さの「大潟富士」が存在する。これはもうその高さ?からして、人工の山と判断できるものだ。所在する秋田県大潟村は男鹿半島に近く、日本第2位の湖 八郎潟を干拓して埋め立て、陸地(農地)に変換したという立地由来の村。平坦な道路が直線交差し、区画された農地が続き、立木の少ない真っ平ら
大潟富士
 
な村の印象だったが(まぁ当たり前だ)、海面下の村とはとても思えない景観が広がっていた記憶がある。もともとが湖底であり海面より低い土地のため、頂上が海面の高さと同じ0mとなるように、そして高さは本物富士山の標高を縮尺した3m77.6cmの山を築いたとのこと。階段22段を上がれば頂上征服だ!!

 以上 低いふるさと富士2山をご紹介しました。