県外会員便り

富士山誕生余話(1)

田村 心一
(山梨県富士河口湖町在住)

 宇宙誕生から137億年、地球も46億年という途方もない時間が経過している。火の玉状態だった地球は、長い時を経て冷え固まり岩盤(プレート)で覆われたが、地球深くでは今なお1000℃のマグマが対流しているのだ。マグマとは地球内部にある時の名前、噴火により地表に出ると溶岩と呼ばれる。

 地球表面は厚さ数10km、大小10数枚のプレートで覆われており、プレートは地下のマグマ対流の影響を受け年3〜7cmの速度で移動し続けている。その速度や方向はプレート毎にそれぞれ異なっていて、各地で衝突し地震や噴火などの地殻変動を起こす。地殻変動は上下運動ではなく水平移動するプレート活動に起因するとした「プレートテクトニクス」理論によって、大地震や噴火のメカニズムは原因解明されたのである。

 北米その他大陸のように1枚のプレートにほぼ1大陸が乗る安定したケースもあれば、日本列島のように北米とユーラシア両プレートに跨った不安定な状態もある。全世界陸地面積のわずか2.8%しかない日本列島なのに地震大国で火山大国とはまったく不運な話だが、世界有数の温泉大国という恩恵も持っている。

 両プレートの接触面を糸魚川静岡構造線といい、列島を二分する第一級の断層帯で、更には紀伊半島から四国を横断して九州に達する中央構造線も、糸魚川静岡構造線に端を発しているという。

 熊本の連続地震も鳥取地震もまたニュージーランド南島の大地震にしても、原因はプレート活動が活発化していると考えざるを得ない。「動かざること大地の如し」とは正確な言葉ではない。大地は常に動いている!

 1000万年前、南方洋上の火山島と共にフィリピン海プレートが北上を開始した。同時期に太平洋プレートも活動して関東山地に衝突し丹沢山地が出来たといわれている。70万年前、フィリピン海プレートは引き連れた火山島共々日本列島に衝突した。伊豆半島の誕生である!と同時に後の富士山噴火の最大要因である冨士火山帯が生まれたことになる。

 北米プレートとユーラシアプレートの境界にフィリピン海プレートが衝突したこの地点は、3つのプレートが接触している地球上の唯一の地点で「三重会合点」という。世界中に火山の噴火は数多くあるが、三重会合点での噴火はないとのこと。富士山が形成される噴火はまだまだ先の話だが、地質学上からも富士山は世界で唯一の火山なのだ。

 さらに言えば、このフィリピン海プレートへは太平洋プレートが沈みこむといった「三重会合点」どころか「四重会合点?!」になりかねない事態が進行中なのである。