東海自然歩道ウオークへの誘い

池内 淑皓
 東海自然歩道とは、1969年厚生省が明治100年の記念事業として、東京の「明治の森高尾国定公園」から大阪の「明治の森箕面国定公園」まで、緑豊かな自然と重要な歴史を伝える古道、文化財を訪ね、心身の健康と安らぎを与える長距離自然歩道として開設された。その総延長は1,697kmに及ぶ。
 


 2014年4月私は第三の人生(後期高齢者)ライフワークの一つとして「東海自然歩道を歩く」ツアーに参加した。当初は18名で歩いていたが、回を重ねるに従って参加者が減り、1年後にはツアー催行人員未達で自然歩道歩きは中止となってしまった。然らば一人で歩こうと決心し、西に向かって歩き始めた。

 昭和の時代には活気があった山村の集落も人が減り、過疎化が進んで旅館も、民宿も廃業に追い込まれてゆく。町から村を結ぶバスも本数が減り土曜日、休日は運休となってしまう。丹沢を越えるときは避難小屋泊となったし、静岡県を通過するときは、野宿を余儀なくされた時もあった。

 大雨による崖崩れや、手入れ不足で通行困難な個所も至る所にあったし、道標が朽ち果てて倒れ、なくなっている場所もあった。地図を読み、登山技術を必要とする箇所も多々あり苦労させられている。しかし苦労すればするほど自然の美しさに感動し、出会う村人達の素朴な親切心にほろりとさせられた。

 今私は三重県を通過して、9月に奈良県室生寺に到着した。今月は「山の辺の道」と「柳生街道」を訪ねる事を楽しみにしている。FWAホームページの「ひろば」に拙文を連載していますのでご覧ください。