紀行

2018夏 シアトルで

  川澄 武雄

   春さきにシアトル在住の従妹からメールが来た。ざっとした話が、もう自分は日本への10時間余りのフライトには体が耐えられない、そちらが元気なうちにシアトルへ来られないか、という事である。これも終活の一つかと思い、7月1日から2週間、一人旅をしてきた。シアトルは5年ぶりである。

 緯度ではシアトルは北海道より少し北にあり、この季節は最高気温が30℃以下で湿度も低く快適な日々であった。今はサマータイムであるが日暮れは10時近い。

 従妹の家はシアトル郊外のレントンにある。シアトル中心部まで車で20分ほどだが、今回は英語の武者修行のために!バスや路面電車を利用して独りでよく出かけよく歩いた。「マリナーズが好調だ、というのを英語でどう言うの?」「doing goodよ」。従妹にそんな程度のことを訊いて、出かけるぐらいだから武者修行もいい加減だが、話のきっかけに何度か有効に使えた。ウォークでは北郊の住宅地 キャピトルヒルからダウンタウンの中心街までが、2q程のまっすぐな下り坂で、街景色の変化していくのが楽しかった。郊外ではレーニア山観光を楽しんだ。

 シアトルにはアマゾン、ボーイング、マイクロソフト、スターバックス等の本社がある。最近はアマゾンのいくつかの大きなビル建設が進み、ダウンタウンの港町風景が一変している。従妹の娘婿がアマゾンの社員なので、同社自慢の3つのガラスの球体植物園型ワークスペースを見学できた。
アマゾン社 球体
 

3つの球体は内部で繋がっているが、最大のものは高さ27m、直径40mほどで、中はらせん状の小路が4階程度にまで伸びている。天井に届くほどの巨木から小さな草木まで40000種類の植物が育てられているとか。建築費は40億ドル(4400億円余)で今年1月末にオープンした。会議スペースのほか無料カフェやツリーハウス、昼寝スポット、ドッグランなどを見ると、働くには居心地が良すぎる環境に驚いた。

 7月5日にセーフコ球場でマリナーズvsエンジェルスを主人のカールと観戦した。シートは年間指定特別席、エンジェルスのベンチ後ろの最前列なので、大谷がごく近くで観られた。

大谷選手
 
日本からのファンも多くオオタニ!と声がかかるのだが、ファンに向かって一度も顔を上げない。後部座席から「翔平さん!お誕生日おめでとう!」と若い女性の声がかかったが、それでも目前の大谷は会釈一つ返さなかった。プホールズやトラウトら、MLBの錚々たる同僚のスターらに遠慮しているのだろうか。この日の大谷は9回に代打で出て凡退した。

 7月8日(日)、従妹と教会に行った。こちらのスコット牧師夫妻は昨年来日した折、東京を案内して旧知の間柄である。礼拝のあと控室で一組の夫妻と会った。この夫妻が野球のチケットを譲ってくれたのである。お礼を言って歓談しているうち野球の話になった。夫人のリサさんは昔のMLBチームのユニフォームや帽子を製造販売している会社の共同オーナーなのだ。日本のプロ野球にも話が及び、300勝投手のスタルヒンや昭和20年代に来日したSFシールズの監督がフランク・オドウルであることも知っていて驚いた。私は翌日、セーフコ球場の近くにあるリサさんのショップを訪ねた。MLB各球団の往年のユニフォームや帽子、ペナントなどが展示されていた。また昔の選手のセピア色の大きな写真が壁に飾られていて彼女が丁寧に説明してくれた。楽しいひと時であった。 

 その他の写真





アマゾン社 内部
大谷選手 (2) 
アマゾン社 内部  コロンビアセンター 
  73Fからの展望 対岸から市街を一望 



旧市街のリサさんのショップ
レーニア山観光