紀行

黄昏の終活旅行 トボトボがヨタヨタ連れてニューヨーク

  金子 勝彦

   我が黄昏夫婦の唯一の共通点は、野球観戦が好きという事です。今回、シアトルにイチローが在籍していた時と、その前の松井がいた時のヤンキース戦観戦につづいて二ユーヨークは2度目、都合3度目の観戦旅行です。ヤンキーススタジアムの3連戦の2戦目と3戦目の2試合を、お互いが普段見せないお付き合いで観戦しました。対戦相手はあのオオタニサンのエンジェルスです。

 さて当初座席予約した3ヶ月前までは元気に3番を着実にこなし人気に負けない成績を残していたのに、出発直前となってなんと同僚の大リーグ屈指の2番強打者トラウトと仲良く今シーズン終了を待たずに離脱となってしまいました。この旅行はオオタニ、トラウトとマー君のいるヤンキースの試合観戦が楽しみで決めたわけですから誠に残念でした。折角2試合の内野席を替えて別々の角度から見ようと用意したのに。それでも各チームの打者の表面と背中をじっくり観察出来る様にとネット裏に近い素晴らしい席を、ご長男様が用意してくれたのを感謝しなければ罰が当たります。

 さて初日の試合は今年で引退と決まっているヤンキースのエースのCCサバシアが先発、なんとヤンキースがオオタニ、トラウトの飛車角落ちのエンジェルスに負けてしまいました。でも2回早々サバシアが降板した際の両チームの選手そして大観衆の惜しみない拍手歓声、又セレモニーに接し、その感激のシーンにさすが大リーグの偉大さを実感しました。

 2日目は期待していたマー君が地区優勝が決まる大切な試合に登板、これが期待以上の出来栄えで7回まで1点に押さえ、打線の援護もあって9対1で完璧な勝利を決めました。終了後選手と観衆の喜びの中で、こちらも嬉しいご相伴に預かり大大満足した次第です。だってマー君の登板試合に必ず見られる保障はありません。それが地区優勝の大試合にラッキーにも観戦出来た訳ですから、大感激です。 又最近の数試合は少し投球に不安があったから、こちらも多少不安でしたが、お陰様で先発が決まり気分も高揚して観戦、さすが日本時代から大試合にめっぽう強いと評判通りその本領を発揮しました。

  シナトラも喜び歌うスタジアム 

 両日とも天気はスッキリと晴れて気温も20度前後と快適で、寿司をつまみながら日頃見せない会話も弾み、至福の時間を過ごしました。でもその上うまい生ビールとつまみあれば何も言う事はありませんが、ハイネケンのうまみの薄いビールで我慢するしかありませんでした。(毛がハイネケンと日本では遠慮していましたが)

 さてこの黄昏夫婦の8日間の旅は、おまけのワシントン日帰りツアーを含めクリアー
な天気に恵まれ、セントラルパークや街中のブライアント公園でゆっくり休むことが出来ました。しかしお互いが人格の違う下半身の不都合な現象には勝てず、それがブレーキとなって街中のウォークは常に気をつかいながらの観光でした。何しろ日本での充実した綺麗でその上ウォシュレットの付いた素晴らしいトイレが数百メートル以内に必ず見つけること出来る環境に慣れている者とって何とも不安でした。とに角自由に使える場所が少ないんです。何といっても日本のトイレは世界一です。

  トイレ終え次のトイレどこですか
  ニューヨークトイレ割引欲しい旅 

 その他文化の違い、言葉の不自由さ、地下鉄の改札、食事の選択その他諸々の文明の衝突に数々出会いながらも黄昏夫婦は無事帰国、早速日本食に飛びつきました。でもこの旅行で言葉の不自由なこともあり、うまく振舞うことが出来ませんでしたが、不愉快な出来事は全くありませんでした。やはりニューヨークは大人の町です。