随筆

Year-Round Walkingは「魔法の玉手箱」?

猿渡 俊弥
 駅前の雑踏、ママチャリの洪水、歩きを止める幾多の信号の市街地を抜けて、河川・公園の「○○のみち」等々に着くと、Year-Round Walkingの醍醐味にと一気に幕が上がり始める。

 そこには、木々のざわめき、野鳥のさえずりが静かなBGMとなり、身体と精神のバランスを穏やかに保ち、「考える」最適な状態にと化してしまう。
 それは、まるで深海にいるような静けさで思考を束縛されることもなく、自由奔放に全てを漂わせることができる世界となる。
 初めて見る深海魚が次々と目の前に現れるように、普段たどり着いたことのない、頭の中の「引き出し」が開き始め、次々にアイデアが浮かんだり、消えたりする。その中には、更に発展をくりかえしていくものも意外と多く、素晴らしい手段や考え方が形成され、実現可能な姿へと固まってくる。
 自分の世界が、この思考の充実感とともに歩きの楽しさと重なって数倍の達成感が湧き、あふれてくるのである。
 ふと現実に戻る「ゴールはすぐだ」姿勢を正し、後ろへ力強く手を振る。そして、いつの間にかまた人混みの中へと吸い込まれてしまう。

Year-Round Walkingは、私のアイデアを引き出す無限の「魔法の玉手箱」ではないだろうか?