随筆

スギ花粉症、 今年の異変

馬場 弘之
 私は筋金入りの花粉症患者です。世の中で花粉症が認知される前から罹っていました。

 昭和50年代から2月中頃に毎年決まって訪日する米国人と仕事で半月ほど同行する必要が有りました。数日すると鼻水とクシャミが出るようになって止まりません。上司からは「英語アレルギー」だろうと、冷やかされていました。 町医者には「これは風邪に間違いないよ」と言われ、風邪薬を出されるのですが、いくら服用して、なんど医者へ通っても収まりません。それが5月のゴールデンウィークになると嘘のようにさっぱりしていました。

 何年かたってから、日光の杉並木周辺で毎春、風邪症状の人が多く出ていて、その原因が並木の杉の花粉であることが突き止められました。スギ花粉症の認知です。 その後米国から粉末の「点鼻薬」が入ってきてずいぶん楽になりました。さらに、粉末が液体に進化し、その液体が目薬にも展開されて、目のかゆみからも解放されるようになりました。花粉症の内服薬が開発されるのはずいぶん後のことになります。

 40年以上も付き合ってきたスギ花粉症ですが、今年は本当に軽くて済みました。薬の量も例年の3割ぐらいしか飲みませんでしたし、たまにクシャミが出ることは有っても、目のかゆみはほぼ感じず、目薬のご厄介にはなりませんでした。
今年に入ってすぐに後期高齢者に仲間入りしましたので、「枯れ木に花は咲かない」で軽くて済んだのか、新型コロナウィルスがスギ花粉の天敵(??)だったのか、何はともあれ今年のシーズンは終わりました。