随筆

      がんとコロナとステイホーム

  米長 修

   緊急事態宣言が出されてコロナが猛威を振るっていた今年4月、年一度の健康診断で東海大大磯病院の主治医から、食道がんが発症していますとの宣告を受けました。6月まではコロナ対応で病院が多忙なので、手術は7月に行います。入院は5日くらいで、最終結果が分かるのは8月下旬でしょう。それまでコロナにかからない様、くれぐれも慎重に行動してください。という次第で、この夏はコロナにがんが加わって、息をひそめたステイホームを送る事になりました。ペンを走らせている9月末現在、全く元気に回復したのですが、81歳の私が、がんとコロナと猛暑のステイホームをどのように凌いだのか、お金の方は大丈夫だったかなど、高齢者の多いウオーキング仲間の皆さんの今後の参考になればと思い記すことに致しました。

 私は42歳の時胃がんで胃を三分の二切除し、69歳には前立腺がんで前立腺を全摘、70歳に食道がんを内視鏡で照射手術しました。私の食道はがんの温床になっていて、常にがん発症のおそれがあるとのことで、毎年内視鏡で検査をしていますが、3年連続してがんが現れたのを最後に、この8年間がんは影を潜めていたのです。それが今年がんが発症したのですが、私はもうがん慣れしているので、青くなるどころか久しぶりに友達に会った様な気分でした。手術と入院とその後の自粛生活をどう乗り切ったか、お金は大丈夫だったかなど、ここから本題に入ります。

 まずは入院から。5日間だけなので、荷物は衣類に洗面用具、スマホとテレビ用イヤホンを入れたバッグ一つだけ。コロナの為付添無用とのことなので、一人で乗り込みました。手術は内視鏡による照射だけなので、初日の午後から夕方まで3時間くらいでした。入院中長いスタンドに大きな点滴をつけ、それを杖代わりにして翌日から洗面、用便を独り歩きで済ませました。食事は薄い重湯から始まって、5日目にはお粥と柔らかいおかずになりました。

 ベッド生活でさぞ退屈と思うでしょうがさにあらず、楽しい毎日を送ったのでした。私は韓国ドラマにはまっていて、日に4本見ています。その合間にコロナのニュースと政府の愚策、地方知事の的確な対応、テレビ局によって異なる医師の見解など、腹が立つやら感心するはで、1日があっという間に過ぎていきました。退院後も同じ生活で、運動は起床後40分のストレッチ、韓ドラのない土日は、種から育てる庭の花壇と、図書館を利用してシリーズもの時代小説を読むなど退屈する暇がありません。かくて8月下旬の最終検査で完治したと宣告されました。最後にお金の話。手術などの医療費は一割負担で3万円強、食費込み4人部屋入院費は3万円強、雑費を入れて約7万円でした。がん保険から1日15,000円、計75,000円入りました。受取人が配偶者の為、差額は全部放し飼いのものになってしまいました。