藤沢宿をあるく(7)
内田商店

 八柳 修之


藤沢橋から旧東海道を西へ向かって歩くと、最初に目にするのが桔梗屋の店蔵、その先、200m位のところに内田商店がある。創業は万延年間頃(1860)、初代内田専吉が指物師(家具類の製造)として内田商店を創業し、明治3年(1870)に現在地に移転した。商号は箱専、指物師を生業としていたことに由来している。明治38年(1905)、鉄鋼二次製品を主体とする金物販売を行う。戦後、昭和28年(1953)、個人経営から(株)内田商店となり、現在6代目内田宏昭氏が事業を継承。鉄鋼製品、機械工具、建築用仮設資材の販売のほか、内装工事、溶接・ALC工事等の請負工事を行っている。

              


東海道からは、当家の敷地の東側に沿って小路が分岐していて、この小路の突き当たりが、昭和25年まで藤沢町役場を経て藤沢市役所が置かれた所で、その後、旧藤沢公民
館となった。町役場が建てられる以前には藤沢御殿とともに、陣屋が置かれ、裏手の一帯は陣屋小路と呼ばれている。

              


現在の木造2階建ての主屋(ミセ)は昭和4年(1929)に建てられたもので、街道に面する間口は6間ほど、雨戸は8枚立てである。敷地は南北に長く、短冊状、ウナギの寝床で主屋、2棟の石蔵、物置と続き、そして北側の隅に屋敷神のお稲荷さんが祀られている。土蔵造建の内蔵は明治22年(1889)の建築、石蔵(木骨石造2階建て)は大正6年(1917)の建築であるそうだ。その様子は旧公民館に通じる小路から全貌を見ることができる。

出典:内田商店HP、「藤沢の民家」1993年 藤沢市教育委員会、「藤沢宿瓦版」第1号(2013年)旧東海道藤沢宿まちそだて隊