随筆

重荷を背負って

  渡辺 正俊

   能力をはるかに超える仕事を抱えて四苦八苦しているというような暗い話ではない。私は、昨年夏から重いリュックを担いでウォーキングをするようにしている。このことである。

 新型コロナウイルスのせいで例会やイヤーラウンドのようなIVV記録がもらえるウォーキングができなくなった。しかたがないので思い切って自主トレウォークを始めたが、ただ歩くのではつまらないので昔流行った「大リーグボール養成ギプス」を思い出し、重い荷物を背負って長距離を歩くようにすれば目に見えて足腰が鍛え直せると考えた。ところが、足腰を鍛え直すのに最適な負荷重量と歩行距離の設定は難しく苦労した。負荷重量と歩行距離に応じた消費カロリーは計算できるが、これを基に設定するのはダイエットであって私の目指すところではないなどと悩んでいるうちにいいことを思いついた。それは、昨年5月〜6月にNHKで放映された「聖なる巡礼路を行く〜カミーノ・デ・サンティアゴ1,500km」の巡礼者のまねをすることである。

 カミーノ・デ・サンティアゴの巡礼者は、衣類、寝袋、雨具、ガイドブック、水等の必要最小限の荷物(体重の10分の1の重量が理想という。)を担ぎ1日平均20km程度の歩行を繰り返してスペイン北西部のキリスト教の聖地、サンティアゴ・デ・コンポステラをめざす。そこで、これらの巡礼者が持つ荷物を調べてそれと同じものをリュックに詰め込むと約10kgになった。そして、自主トレウォークとイヤーラウンドにはその10kgのリュックを担いで1日20km以上を歩くことにした。

 その結果、昨年の7月28日から本年4月17日(執筆時点)までに165日、3,745kmの距離を歩き、この間、足腰が鍛えられたという実感とかなりの減量効果が得られ所期の目的は達成できたのだが、考えてみると、カミーノ・デ・サンティアゴを歩く準備ができたともいえる。その実行は、新型コロナウイルス撲滅まで待たざるを得ないので、それまでは、このトレーニングを続けるつもりだ。

サンティアゴ・デ・コンポステラ