藤沢宿をあるく(11) |
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なにしろ、創業は嘉永2年(1849)というから、170年もの間、この街道で営業している超老舗である。現在はコンクリート建て3階となっているが、1階のお店にはなまこ壁を配している。
加藤徳右衛門が昭和8年に著わした「藤沢郷土史」によると、経営者は久保田喜助、名物は古蹟煎餅、三品漬とある。加藤は「藤沢名物の三品漬の創始者 菓子料理に鼻祖」と述べている。右の当時の広告によって昭和初期の建物、扱い商品が分かる。三品漬は一時砂糖が統制品に指定され入手困難となった時期もあったが、はったけの入手が困難となったことから製造しなくなったという。現在、一番の目玉は「松露羊羹」(1本927円)、は葉山の御用邸の献上品でもあるという。松露羊羹は別として、柏餅、鶯餅、葛切り、蕨餅、それに饅頭、大福まである。 豊島屋本店の先き関次商店の隣りに井本菓子店がある。最近までお店があったが閉店となり、販売は遊行寺境内で行っている。井本菓子店も昭和8年当時からあった老舗である。加藤によると、「名物はお繭満頭、蓋し本店の得意たるもの」とあるが、ご主人に伺うと、繭満頭は現在製造販売していない。繭の形をした饅頭で、往時、藤沢は製糸業が盛んであったことから製造していたという。 その他 加藤の記述にある昭和8年ころのお菓子屋さんで、現在も営業しているのは遊行寺通りの近江堂菓子店、明治28年の創業である。その名が示すとおり滋賀県近江の出身、名物はどらやき。現在、5代目が店を守っている。 出典:「藤沢郷土史」 加藤徳右衛門著 昭和8年初版 発行 図書刊行会 |