随筆
小塚 四寿 |
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コロナウイルスの蔓延によりウォーキングの機会を突如奪われて思いついたのが山登りです。体力維持のために運動は継続しなければなりません。ウォーカーの中にも登山をされている方はいらっしゃいますが、押しなべて健脚でウォーカーにはないスタミナをお持ちだという見方をしていました。 果たして自分はいかほどのものか。まずはチャレンジです。そこで最初に神奈川県のランドマーク大山に登ってみようと計画しました。実はウォーキングで鍛えた脚力にはささやかな自信がありましたが・・・。下社から登り始めましたがコースタイム1時間30分と書いてあります。ところが登り始めてすぐに自分の持病の喘息を呪うことになります。息が切れて全然登れません。心肺能力は相当低下しているようです。いろいろな方にどんどん抜かれ、コースタイムギリギリで到着です。 これで、自分の能力を思い知らされました。並みの古希の老人でした。そこからはひ たすら低山歩き。今更北アルプスに登れるとは思っていませんが、少しでも経験を広げたいと丹沢、湘南アルプス(高麗山)、三浦アルプス等に結構な頻度で出かけました。 山登りは体力維持という目的はありますが、本来の楽しみは日常では触れられない山の緑や、平地では得られない眺望を楽しむことです。特に富士山がきれいに現れたときは神奈川県に住んでいる幸せを実感します。 そしてもう一つ山登りの別の楽しみを見つけました。それは三角点の捜索です。三角点とは国土地理院が全国に設置しているその土地の位置を表示するためのものですが。 標石と言って頭に十字が刻んである花崗岩の柱が埋められています。新田次郎氏の映画にもなった小説「点の記剱岳」は明治時代に剱岳に三角点を設置するために奮闘した測量官の話ですが、歩いて見つけた三角点が何故、ここに設置されたのか、また一等三角点の重さは90sあるそうですが、そんなに重い標石を運んだ苦労などを思いめぐらすと、貴重な文化財だということに気づかされます。 三角点は基本、高いところに設置されていますが中にはなんでこんなところにという場所もあります。藤沢では皇大神宮の隣の何でもない公園に設置されています。そしてまたぞろ悪い癖が出ました。三角点には一等から四等まであり、やはり一等は格が高いようです。神奈川県には8か所の一等三角点があり、これを全部見てみようと思い立ちました。結果、箱根の神山山頂にある三角点は火山活動が活発のため立ち入り禁止になっており登れないことがわかりました。こんなものです。 コロナ禍のせいで、生活スタイルも変わり閉塞感が漂いますが、疫病に負けてたまるかと自分にムチ打ち生きていかなければと考えます。 |