長い距離を歩いた人々

八柳修之
世界で長い距離を旅行した人で記録がある人、誰もが思いつくのはマルコポーロ12541324)、その著「東方見聞録」があり、歩いた距離は15,000㎞とされる。
これより長い距離を旅行した人、モロッコの人、イブン・パットゥータ13041368)というイスラムの僧侶がいる。
イブン・パットゥータ


21才のときメッカに巡礼し、その後30年かけてイスラム世界を旅行した史上、偉大な探検家と言われている。44の異なる国々、地域を旅し、その距離、29年間で推定75,000マイル(約12万km)という。(「三大大陸周遊記」東洋文庫、要約本、中央公論社)

国内に目を転じ、長い距離を歩いた人は誰か。誰もが承知の伊能忠敬50歳で隠居し、星学、歴学を学び、1800年、56歳から72歳までの16年間、約4万km歩き日本地図を完成した。(井上ひさし著「四千万歩の男」全5巻、講談社文庫)。江戸時代になると伊勢参りが盛んになり文政13年(1830)には一年に500万人もの人が訪れたという。(「歩く江戸の旅人たち」谷釜尋徳、晃洋書房)。抜け参りといい女性や奉公人が主人の許可なく伊勢参りしてもお咎めを受けることはなかった。
藤沢宿の伊勢参り第一号は平野新蔵、文政11年(1828)「伊勢参宮紀行」がある。 京都まで行き往復42 1316㎞。松尾芭蕉の「奥の細道」は、150日間600里(2400㎞)。(穎原退蔵・尾形仂著、「おくのほそみち」角川ソフィア文庫)、解説が旅行記のようで興味深い。1878年(明治11)、英国の女流旅行家イザベラバードはアイヌ民族研究のため東京から北海道平取まで旅行、その後、伊勢、関西まで往復、7ヶ月全行程4,500㎞。(「日本奥地紀行」講談社学術文庫)。

近年では19946月から2年半、シルクロードを単独で歩いた青年、大村一朗の「シルクロード 路上900日 12,000㎞」めこん社がある。西安からローマまで強盗や詐欺、病気、査証切れ等々のトラブル続出の苦難の旅であった。日本人ベストワンはリヤカーを引いて41年間で約5万km以上、5大大陸を制覇し、植村直己冒険賞を受賞した永瀬忠志、(「リヤカー引いて五大大陸」学研)。世界旅行した人の記録では兼高かおる。訪れた国150カ国以上、移動距離721km(地球180周分)。最近では22年間、102国、五大大陸を車で旅したアルゼンチンのエルマン一家、この間、お宿を世話になった人2,000人以上、子供は4人になっていた。
先ごろ、船渡川輝夫さん(横浜在住)が、IVV 20万km完歩しJVAから表彰された。20万㎞といえば、地球5周もの距離である。4万㎞、実際、地球を歩いたとすれば、ユーラシア大陸東端の釜山から北京、西安からローマ、大陸西端ロカ岬、北米大陸に飛び、フェアバンクスからパンアメリカンハイウエイで南端パタゴニアまでの距離である。FWA事務局に記録がある4万km達成した会員はHP「寅さん歩」400回を超し執筆中の平野武宏さんが平成21年(20099月を第1号とし、最近では弥勒寺裕さんが20215月、IVV4万㎞を達成、会報2月号に回想が掲載されている。HPに記録を執筆されている池内淑皓さんは優に4万㎞を超え、真にウォークを楽しんでおられる。
大和田精吾さんは201310月~20159月、宗谷岬から佐多岬まで日本縦断3,000kmを達成し、その記録はHPに掲載されている。20221、榊原克世さん、斎藤郁子さん、松井重欣さんが「IVV認定2デーマーチ・3デーマーチ100大会以上参加者表彰」を受賞、榊原さんの回想が会報4月号に、斎藤さんと松井さんの寄稿文がJVAHPに掲載されている。すでに達成された方々や挑戦されている方々の想い、記録、コメントなどを伺いたいものである。