「80歳の壁」突破は毎日歩くことです

八柳修之
 ベストセラー和田秀樹著「80歳の壁」にみる健康寿命とウォーキング、心身ともに自立して健康でいられる年齢を「健康寿命」と言い、その年齢は男性が72.8歳、女性が75.68歳となっている。(令和元年)。このことは平均すると男性は72歳、女性は75歳で、誰かの介助が必要となることを示している。一方、何歳まで生きるか=何歳で死ぬかを示す平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳です。(令和2年調)。「健康寿命」が延びなければ、介護されたり、ベッドで過ごす時間が長くなるだけで、その期間は、男性が9年、女性が12年となっている。死亡数とは年齢別に亡くなった人の数を調べたもので、最も多くの人が亡くなった年齢は、男性が85歳、女性が90歳でした。(平成17年調)(以上、「80歳の壁」から)

健康づくり課による講演の模様
 健康寿命はどのように算出するのか。7月16日、FWAスタッフ研修で講演いただいた藤沢市健康づくり課、田中 梓さんによると、「日常生活に制限がある」ことを不健康と定義し、3年毎に実施される「国民生活基礎調査」(厚生省)で得られたデータに基づいて算出される。「よい」「まあよい」「ない」と回答した人を「健康」とし、「ある」という回答を「不健康」とし、サリバン法という統計手法により算出されるという。
 一方、藤沢市でもこれとは別に、藤沢市独自に平均寿命と健康寿命を算出している。これによると直近平成29年、市民の平均寿命は男性82.4歳、女性88.0歳。一方、健康寿命は、男性81.2歳、女性85.2歳となり、平均寿命との差は男性1.2歳、女性2.8歳となっている。平均寿命と健康寿命の差は平成22年以来、男女とも横ばいで推移しているという。 国と市の健康寿命との差はなにか。藤沢市は介護保険をベースに要支援1と2、要介護1を不健康と定義していることによる。これによれば不健康と算定された人は平均すれば男性は1.2年、女性は2.8年でお亡くなりになることを示している。一方、藤沢市の人口推移と人口構成をみると、2020年、全人口434,978人のうち65歳以上の人は108,988人(約25%)、4人に1人が高齢者となっており、2040年には約3人に1人が高齢者となる試算、驚くべき社会である。
 わが国におけるリスク要因別の死亡者数(男女計2007年)の第1位は喫煙、第2位高血圧、第3位運動不足である。特に後期高齢者についていえば、歩く速さが衰えたり、日常生活に支障がある場合はフレイル(健康状態と要介護状態の間)になり、放っておくと要介護状態になる。フレイル予防の三本柱は社会参加、栄養(食・口腔)、運動。運動についていえば体操やウォーキングなど週1回以上の運動習慣があることがフレイル予防につながるとしている。(以上、健康づくり課、講演および資料から)

 ところで、なぜ女性の平均寿命が男性よりも長いのでしょうか。調べてみると生物学的に女性は強い、ホルモン分泌の違い、エネルギー消費量の違い、免疫力が強い、加えてメンタルに強い。一方、男性は事故、自殺が多いなど社会的要因が多いことが挙げられるとしている。(若林正巳、なぜ男は女より早く死ぬか、SB新書)
 それだけであろうか。私は女性の多くは日常生活の中で料理をはじめ買い物など家事全般、頭と体を使っていることにあるのではないかと思う。
 和田先生は80代にお勧めの運動は「歩く」こと、足の老化予防だけではなく心臓のポンプ機能も強化してくれる。すると脳や体の隅々の細胞にも十分な量の血液を送ることができる。外出して日を浴びることで「幸せホルモン」と呼ばれる脳内伝達物質が分泌される。一日30分歩くのが理想ですと。一日30分、FWA会員にはちょろいことですが、毎年、例会を辞めていった人々のその後の生活が気になるところです。
 藤沢市の場合、後期高齢者等健康診断は6月1日~10月31日まで、費用は無料です。是非、検診を受けて問題があれば早めに対応しましょう。