創立25年 そしてそれから スマホアプリのウォーキングか  

八柳 修之

 去る8月7日、バーチャルウォーク(VW)五街道を完歩しました。2019年5月18日、東海道を京に向けて日本橋を出立して以来、2700㎞、1,145日、3年14日の長旅、一日平均2.35㎞。牛歩にも劣るウォークでした。VWはそもそも、80歳を前に急激に足に衰えを感じ、これでは早晩歩けなくなるという恐怖を感じ毎日、楽しみながら想像しながら歩くことが出来ないかと考え広重の浮世絵をベースとした記録帖を考案しHPに発表したところ、協会の事業の一つとしてとりあげられました。協会として展開したのはFWAが最初かと思われます。

 7月26日には早くも片山忠夫さんが京都に到着、東下り、中山道、日光道中、奥州街道竜飛岬まで、甲州街道の記録帖5冊作成しました。VW五街道は現在、片山忠夫さんを初めとして約40名の方がこのプログラムに参加しています。私は皆さんについて歩けなくなった頃から、長い距離を単独で歩いた人の記録本を読むことで元気がもらえないかと本を探し読みました。最初に読んだのは大村一朗著、「シルクロード路上12,000㎞」、感銘を受けました。地球一周4万kmを目指しているウォーカーが多いということを聞き、釜山から38度線を越え、シルクロードの起点西安からローマまで、さらにユーラシア大陸の西端ポルトガルのロカ岬まで18,569km。北米大陸にわたりアラスカのフェアバンクスからパンアメリカンハイウエイで南米最南端パタゴニアまで4万km。挑戦者が今、どこを歩いているか分かるような記録帖を作成しました。長い距離を歩いた人の紹介、本の要約はHPで見ていただくこととし、一番、関心があったのは松尾芭蕉の奥の細道600里(約2400km)です。俳句の解説本を読みながら、少しでも芭蕉の句に見る心象風景を想像しながら毎日を歩く。五街道VWを歩き終わった元会長で相談役の平野武宏さんは、現在、HP連載中の「寅さん歩」と合わせて奥の細道を歩いておられる。

 私は自信がないので、前に歩いた記録とも比較できるので、再び東海道から始めています。今年10月はFWA創立25年。25年を目前に長年事務局長を務められた相談役の長津 豊さんが6月に83歳でお亡くなりになられたのは誠に残念なことでした。私は1997年10月、FWA設立と同時に入会、当時59歳、まだ現役で会の歴史は私のウォーキング歴でもある。発足当時の会員数は174名、翌年の1998年には302名、以後、会員数は増加の一途を辿った。この間、今日あるを予測し、団塊の世代に退職後ソフトランディングを勧めるため長津、平野両氏を中心に市内有力企業を廻りPRしたが、さしたる効果はなく平成22年(2010)の553名をピークに減少の一途を辿り、2021年末には418名となった。近年は退会者数が入会者数を上回っているのが現状である。深刻なのは歩けるスタッフの減少と老齢化である。このままでは早晩、活動は立ち行かなくなる。このことは、他協会にも共通する悩みであろう。伝統を誇る鎌倉協会は今年限りで活動に終止符を打つという。YRだけは残すということなので、ほっとしているウォーカーも多いかと思う。

 JWA(日本ウオーキング協会)の畑浩靖会長は2021年9月、新体制の発足にあたり、歩くことのみのウォーキングイベントや団体歩行で歩くことに特化したことだけでは生き延びられない。日常のウォーキングを定着させる仕組みを考える。その解決策としてJVA(日本市民スポーツ連盟)が進めているスマホを使ったアプリ。自分のウォーキングを記録し、それをJWAが認定する。(ウォーキングライフ 2021 9-10. No111) 例えば奥の細道を歩くという目標をたてて身近な道を歩くことを積み重ねて、それを達成するバーチャルウォークも可能等々の機能を持つアプリの推進を提言されておられる。

 そこで、私は平野武宏さんがスマホアプリを使った歩き方(2020年3月)で紹介され実際に歩かれたJVAのコースをモデルにもう一つの新YRの検討を提案したい。市の施設、寺社、お店等をYRS(イヤーラウンドステーション)兼CP(チェックポイント)として、QRコードを設置してもらい、IVVを認定してもらいたいウォーカーには、例えばスイカをタッチし参加費を支払う。その記録は月毎に本人に通知するというものである。すでに藤沢市健康づくり課による地区毎の標準コースがあるからこれを包摂するとよい。会員に限らず広く市民にも手身近に健康ウォーキングを楽しんでもらう。HPの談話室を復活し広く市民に写真や記録を投稿してもらい豊かなウォーキングライフを楽しんでいただく。FWAのYRを創設し、行政と連携し広く市民のための日常の健康ウォークを提唱し規約を改定した先見の明がある長津さんへの最大の供養、25年の節目ともなるであろう。