随筆
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池内 淑皓 |
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2025年(令7)5月6日朝日新聞朝刊13版19面に掲載された記事について、小生も2014年2月から2018年4月にかけて全コースを歩いたので、雑感を述べたい。
記事では名古屋在住のハイカー山中氏(42)の生きざまを中心に記述されている。 確かに自然歩道は素敵なコースで、終日富士山を見ながら歩いたり、茶畑の中を通り抜けたり、広々とした牧場の跡地を横切ったり、風力発電の風切り音を聞きながら、高原の尾根を辿ったり枚挙に暇がないが、町と付かず離れずの距離を置いたこのトレイルは、文句なしに心を癒される。 昭和の頃は、町も村も元気で活気があっが、平成の時代に入ると次第に集落の過疎化が進み、高齢化が進み、路線バスの運行本数が極端に少なくなってしまった。バス利用が制限されると途端に歩きにくくなってしまう。コース設定の都合上バスで町に帰れなくなると、天幕か野宿を強いられる。私も三度程野宿を強いられた。 新聞では素敵な表現をされているが、中高年のウオーカーにとっては、必ずしも快適なトレイルとは言えない。一日分のコース設定をして、ゴール地点に着いた時にバスの便があるかどうかで、コースが決められてしまうからだ。逆に言えば、バスの時間に合わせてコース設定をしなければならなくなる、それが駄目ならタクシーを呼ぶか、野宿となる。 現在私は首都圏自然歩道(関東ふれあいの道)を歩いているが、このコースも同様である。 道標は完備しているが台風、大雨の影響でコースが荒廃していても、殆ど修復されていないのが現状である。強行突破したことは何度もあった。事故が起きたら発見されないだろうし、ウオーカーに出会う事は一度もなかった。歩く人は稀なのだろう。 町に近いコース設定や家族連れでも歩けるような、コースの見直しも必要ではないかと思う。今後ますますバス路線が縮小されるのは明らかであるから、改善を強く希望したいものだ。 日本の原風景に出会うコースを、多くの人が楽しんで頂きたいものと思う。
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