紀行
ソロ滞在
平成26年6月29日 池内淑皓 |
3月10日(木) 滞在10日目 ソロ滞在中は毎朝7時頃に起きて、ホテルの前にいつも屯している「ベチャ」(三輪自転車のことで、自転車の前に座席がある)に乗って早朝散歩をするのが日課になってきた。 |
写真のお兄ちゃんは、終日ホテル前に駐車してお客を待っていた、ソロ市内を出る距離だと断られるが、市内であればどこに行ってもOKだ。毎朝、お兄ちゃんのベチャで散歩した、昨日は東方面、今日は西方面、明日は南と30分程ぶらりと乗り回す、ジャラン(歩く)、カナン(右)、キリ(左)、トルース(まっすぐ)、ベルヘンティー(とまれ)はすぐに覚えた。 ベチャで散歩のあとはホテルで朝食を取り、ガイドブックを片手にぶらりと町に出る。 お土産屋を覗いていると、見知らぬ「オジサン」に肩を叩かれた。傍らには若い娘さんらしき美人が立っている。「ヤバイ!」と一瞬身構えて逃げ腰になると、傍らにいる娘さんが日本語で話しかけてきた。「教えて欲しいことがあるんです」と、この問いかけも東南アジアでは絶対ヤバイのだ。 |
「ノフィーのお父さんと、娘のノビタ(愛称ノフィー)」 ソロの喫茶店にて |
彼女に「なぜ私が日本人だと分かったのですか」と質問した、彼女は答える「背が低くて、日本語の地球の歩き方の本を持って、うろうろしていればほぼ日本人に間違いない」と言う。これからスラバヤにある日本総領事館に行くところだと答えてくれた。 オジサンの家はスラバヤの先「マラン」の町で印刷屋を経営していると云って名刺を差し出された。名刺には「ノビタ・スワンジャジャ」と片仮名で印刷されていたし、名刺に日の丸が刷り込まれていたのだ。少し安心して近くの喫茶店で話を聞いた。彼女は4月に福岡女子大学の栄養学科に入学を希望している、入学願書の中に、身元引受人の日本への「招聘状」(しょうへいじょう)が入っていた、この招聘状の中味を説明して欲しいと訪ねられたのだ。 かつて私はタイの娘さんを我が家にホームステーさせたときに、外務省発行の招聘状を書いたことがるのですぐわかった。日本国はアジアの若い娘さんを簡単に日本には行かせない、確実な日本での身元引受人が必要なのだ。 |
「差し出された名刺」、お父さんは日本語が話せないが娘さん(ノビタ)が日本語を話し、日本との懸け橋となる仕事をしているので、インドネシアと日本の国旗を刷り込んでいると言う。 |
めでたく日本での勉強がOKとなり、福岡で勉学中横浜の我が家へ遊びに来てくれた。 二年間勉強し、帰国前にお父さんが日本へ迎えに来て、再度一緒に私の家に泊まってくれた。 |
「江の島、鎌倉を案内する」 鶴岡八幡宮階の前で、大銀杏が元気だった |
現在は静岡焼津にある機械工場がインドネシアに進出して、ノビタはそこの従業員として働いている。 業務は生産部にいて、ISO品質規格をインドネシア語に訳し、現地の法令に対応、作成中とのことで時々質問のメールが飛び込んでくる。(左端がノフィー) |
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ノビタと分かれてから、タクシーを拾って一時間(直接行くバスはない)、珍しい遺跡があると言うスクー寺院とチュトー寺院を訪ねた。 |
「ソロからスクー寺院、チュトー寺院への道」 (地図上のサンギランはジャワ原人の頭蓋骨が発見された所) これらの寺院は今までのジャワ建築の仏教寺院及びヒンズー寺院とは全く異なっていて、マヤ文明のピラミッド遺跡にそっくりな姿をしている。 15世紀マジャパイッ朝時代に創建された神秘的な寺院であると云われている、少し辺鄙なところであるから、一般の観光客はあまり訪れない。 |
「スクー寺院にて」 本殿の周りに並ぶ彫像、仏教像を離れた”マヤ”っぽい神々の彫像が印象的。 |
本殿の入口に並ぶ彫像、亀の石造、ヒンズー教世界の奇妙な動物像等が立ち並ぶ、もちろん「リンガ」もある、ジャワ東部のソロ辺りまで来ると、今でも神秘的な精霊崇拝の信者たちが多いと言われる |
神殿はマヤのピラミッドそっくり、屋上でなにやら人が集まっている、私も上に登ってみる |
御先祖様の供養をしているのであろうか、親族が全員集まっているような気がする、お坊さんが居ないからお参りなのかもわからない、若い娘さんも居る。 |
神殿の頂上にある線香立てのような石物を前にして、ご飯やお花の供物を供え、そして順番に手を合わせている。この石にご先祖様の精霊が宿り(日本の墓石のようなものか)拝んでいるのであろうか。 |
「家族の子供たちと一枚パチリ」 子供たちは神殿の下で儀式の終わるのを待つ、上には上がれない、狭い神殿上には安全対策がないから落ちたらアウトだ、だから上らせないのだろう。 |
「チュトー寺院にて」 ラウ山の麓に建てられた自然信仰が根強く残る寺院。 石畳の参道には様々な石造が置かれ坊が建ち並んでいる、ソロ精霊信仰の総本山と言われる。 |
「チュトー寺院本殿」 マヤ文明遺跡群の神殿とそっくりの本殿 |
インドネシアを歩く(9) スラバヤ へ続く |