紀行

インドネシアを歩く(12)

バリのお葬式

 平成26年7月11日 池内淑皓

 3月18日滞在18日目、今日カミさんは朝一番の飛行機でジョクジャに飛んで、日帰りで「ボロブドール遺跡」を見に行った。私は終日一人、朝寝をして遅めの朝食の後ぶらりと町へ散策に行く、路地伝いに裏道を歩いていると、騒がしく人の出入りの激しい家が目に入った。
 「何だろう!」と好奇心が頭をもたげる、広い玄関から中を覗くと、どうやらお葬式の準備をしているみたいだ、「日本人ですがお葬式に参列しても良いですか?」と家の方に聞いてみた、「正装で来れば良いですよ」と答えてくれる、急ぎホテルへ取って返す。

 ホテルの支配人に訳を話して、部屋付のボーイさんに頼んで、彼の礼装一式を借りて葬儀に向かうことにした。写真は今着ているTシャツを除いてバリの正装である(シャツは大きすぎて着られなかった)。
帽子は「ウドン」と言う、藍色の腰巻はバディクの「サロン」で、その上に黄色い「サップ」を巻きつける、シャツは「バジュサファリ」と言うが着なくて良いというからTシャツにした。
 写真はホテルの中庭で撮影したもの

 この服装で快く私を迎え入れてくれた。
 葬式が始まったのは10時頃で参列者は外に並べた椅子に腰かけて僧侶の読経を聞く

 お昼になると部屋に招かれ昼食が出た。プレートに好きなものを載せて食べる、美女たちは会葬者。
 女性も正装でバディックの「サロン」に上はレース状の「クバヤ」を羽織る。
 隣の青色のクバヤを羽織った夫人が私に作法を教えてくれた。

 葬式の最中ガムラン音楽を鳴らす、葬送のメロディーなのだろうが、私には分からなかった、その間参列者は棺の前に進み出て線香を手向ける、私も行ったこの作法は日本と同じ。

 家での儀式が終わると、棺と供物を持った親族たちが歩いてお寺に向かう(お寺は近い)

 棺を乗せる神輿、竹で編んだ筏に若者が担ぐ、棺は後方の聖なる牛の背中に乗せる。
 手前の飾りはガルーダ

       棺を牛の背中に入れている所

      準備が整うと牛の背に親方が乗り指示をする、若者が筏を担ぎ上げる

 聖なる牛の棺を先頭に、町の衆たちが筏を担いで菩提寺に向かう。
 道路は葬送の列が通り過ぎるまで交通止め

 家族の菩提寺である「ダラム・ブリ寺院」内のガート(死者を荼毘にする台)に筏ごと載せて薪を置く

 火が掛けられ死体を荼毘(だび)にする。全ての儀式が終わったのが夕方の5時であった。

インドネシアを歩く(13)へ続く