紀行

インドネシアを歩く(13)

バリの寺院と伝統舞踊(最終回)

 平成26年7月14日 池内淑皓

 3月19日(土)滞在19日目、明日は日本に帰る日、インドネシア最終日の今日は、島内の主要な寺院とバリの伝統舞踊を見学しようと思う。
 まずはバリ最高峰のアグン山(3142m)の麓にあるヒンズー寺院の総本山「ブサキ寺院」を訪ねる、そして日暮れには息を呑むような風景が見られるという「タナロット寺院」を訪ね、最後の夜はウブドの古刹である「ダラム・ウブド寺院」で伝統舞踊を鑑賞する。

 「ブサキ寺院にて」 ウブドから北へ車で小一時間、聖なる山「アグン山」の麓に位置する母なるお寺。
 さすがにヒンズー教の総本山だけあって?服装はサロンを着用しなければ寺院に入れないと言う、ガイドのイワンさんが私達二人分のサロンを持って来てくれた、男は帽子(ウドン)も必要だという。
 写真は寺院駐車場から正門である「割れ門」(写真後方)を望む

 母なる寺と呼ばれる程重要なヒンズー教の総本山で、敷地内に大小30もの小寺が集まる複合寺院。 部族のカースト(身分制度)によってお参りするお寺が異なると言う。
 16世紀にゲルゲル王朝王家の葬儀寺院として創建された、以降バリ島各地の寺院を包括するようになったと云う。

 割れ門から境内を望む、 ヒンズーのブラフマ神を祀る「ブナタラン・アグン寺院」、シバ神を祀る「ダレム・ブリ寺院」、ビシュヌ神を祀る「バスキアン寺院」等小さな建物一つひとつがお寺だと云う。

 多層塔のような「メル」(塔頭)の一つひとつが寺院なのであろうか、そこには祭壇があって供物や供花が絶えない。メルの層はアグン山や、バトゥール山等の聖なる山々を表していると云う。

 「バトゥール山(1719)とバトゥール湖」 
 この湖はバリの水道源水で貴重な水甕,辺りは高原地帯で冷涼、この山は活火山で今なお活動中である。

 「夕暮れ近づくタナロット寺院」
 一旦ホテルに戻り、夕暮れを目指して出かけた、運よく干潮時にぶつかり、潮が引き始めている、島全体が寺院だ。

 タナロット寺院は島の頂上にある、満潮時は船で渡るが、干潮時になると歩いて渡る事が出来る。
 16世紀頃、海の守護神を祀るためにジャワの高僧「ニラルタ」によって建立された、原則として異教徒は島に渡れない。

 「夕暮れのタナロット寺院」
 インド洋に日が沈む。神々が降臨するにふさわしい黄昏時の寺院。
 個人旅行の良い所は、好きな時に何時までも、好きな場所に佇んでいる事が出来るからだろう、何ともロマンチックな日暮れであった。

 「ダラム・ウブド寺院でのオダランを見学する」
 オダランとは寺院毎に催される祭礼で、伝統舞踊と神秘的なパフォーマンスが披露される。
 写真は、これから披露される伝統舞踊の踊り手が、男性に担がれて舞台に登場する。祭壇の前では片肌脱いだ男性が祈りの儀式を行う。

 華麗な「レゴンの舞」 背景は寺院の境内が舞台だ
 18〜19世紀頃に成立した宮廷舞踊で、優雅なチョンドン(女官)の踊り、もちろん音楽はガムラン。

 「ケチャダンス」 50人近い上半身裸の踊り手が、闇夜に「ケチャ、ケチャ」と奇妙な掛け声をかけて神秘的なトランスダンスを演じる。
 丁度トルコで牧師が踊る「セマー」と同様、踊るにつれて陶酔状態となってゆく。



 男たちはトランス状態となって、地べたに寝転んでしまう、仮面をつけた踊り手(右)が「バリス」の踊りを披露する(戦士の踊り)

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 3月20日滞在20日目 今日は帰国日、朝もう一度ウブドの町を散策して、デンパサールに向かった。
 デンパサール空港23:55発JL720に乗れば成田には翌日7:30に到着する。トラブルもなく無事に帰国することが出来た。
 そして発展著しいインドネシアを気儘に観察出来た収穫のある旅であった、人々は他のアジアの人達と同じように親切で人なつっこい、新たな友人がまた生まれた。