紀行

ベトナムを歩く(10)

フエ・郊外歴代王墓めぐり

 平成26年10月22日 池内淑皓

 ベトナム滞在10日目、今日も天気が良い。雨季のベトナムで、こんなに好天が続くのはめずらしいと言う。
今日は阮(グエン)王朝(1802〜1945)歴代の陵墓を訪ねてみる、陵墓はフォーン川に沿って広く分散しているから歩いて尋ねるのは無理。
タクシーで廻る方法(一日4千円)と、バイクのお尻に乗るバイクタクシー(セ・オム)があるが、外国人向けツアーが1500円(昼食付)で催行していたので、利用する事にした(フエ シティー ツアー会社)
 朝8時ツアーバスがホテルに寄ってくれた、満員のお客さんを乗せて出発する。
西洋人が多く、アジア人は私とミヤンマー人だけであった、先ずは阮王朝の二代目ミンマン帝(明命帝)の陵墓に向かう。


「阮王朝歴代王墓周辺図」  ブルーガイド「ベトナム」実業之日本社刊

フエ シティー ツアーの観光客、でっかい外人ばかりで仰天。

 「ミンマン帝廟」 (1802-1841) 中国風の造りである、歴代廟の中で最も威厳のある造りだという、 中国文化を好み、自らが設計して1844年完成させた。
 武官、臣下らの彫像が廟を見守る、右の建物は皇帝の顕彰碑が収まる建屋、その奥の建物は「崇恩殿」、御霊屋は一番奥にありここからは見えない。

 「ミンマン帝顕彰碑」 帝の生涯やその功績を称える石碑
 ミンマン帝は善政を敷き数々の功績を残し、歴代王朝で最も国を発展させた王の一人

 皇帝と皇后の位牌のある「崇恩殿」 ベトナム戦争の傷跡が未だ残る、霊廟はこの奥にある
*****************************************************
 次の訪問廟は、第12代皇帝の「カイディン帝廟(啓亭帝)」(1916-1925)を訪れる、1920年から11年かけて造られた、西洋風の建造物で、モザイクで飾られた壁はフランスの影響を受けており、とても凝った建物である。

廟への階段を上る、両端には龍の彫刻が据えられている

 第一階段、第二階段を登りきると帝の顕彰碑が置かれた広場に出る、両脇には家臣らの彫像が並ぶ。中庭から帝の顕彰碑を望む、後方の建物はカイディン帝が眠る廟?

顕彰碑横から入口の方を見る、右側にも武官や、象や馬の彫像が並ぶ

 帝の顕彰碑は二層造りで八角形の石堂となっている、彫刻が見事であるが、アジア的ではなく西洋風な匂がする、タイルはなく、全体にくすんだ暗い建造物になっている

顕彰碑、一枚岩に台座付で刻み込まれている

 「カイディン帝廟堂」帝が座る玉座、帝の像には金箔が施されている、そしてこの像の下に遺体が安置されている、歴代の皇帝で唯一埋葬場所が分かっているのは彼だけである。

   
******************************************************
 次の訪問廟は、第四代トウドック帝廟(嗣徳帝)(1847-1883)に向かう、この廟は町に一番近い廟で、広々とした別荘風の造りで、広い堀と石垣の護岸が美しい、池の一角には帝が釣りを楽しんだという釣り殿がある。1864年から1867年まで3年かけて造られた廟。

 「第四代トウドック帝廟」、平地に作られている、在位中は別荘として使われた、堀と広い森に癒される

「皇帝を祀ったお堂?」 阮王朝で最も在位の長かった皇帝の廟

 「トウドック帝の顕彰碑」木々に囲まれて静かな森の中に在る、訪れる人も少なく、閑静で散策するのに気持ちが良い。

 その他「テエウティー帝廟はベトナム戦争で破壊され現在工事中で入れない。
 「ドンカイン帝廟」、この廟も工事中で入場出来ない、
 「ホンチエン廟」は川向こうのためツアーコースに含まれなかった。 

 「昼食」 50種のアジア、西欧料理のバイキングであったが、参加者が多く順番待ちで食べるのに大変

 「閑話休題」  レストラン中庭のブーゲンビリア、殊の外爽やかな赤紫が、熱帯の南国に良く似合う

 午後はフォーン川の袂にあるティエンムー寺を訪ねる、1601年創建、塔の高さ21m七層八角形で、各層には仏像が安置されている。
 またこの寺の住職は、ベトナム戦争に反対して焼身自殺した事で有名。

塔の傍らには、2トンと言われる大きな釣鐘があり、フエ市内まで鐘声が聞こえると云う

お寺の前から、遊覧船に乗ってフォーン川を溯る、川風が涼しく気持ちが良い



 新市街の観光船乗り場が終点で、30分程のクルージングが何とも心地よかった。
続く