紀行

ベトナムを歩く(21)

メコンデルタ

 平成27年1月20日 池内淑皓

 いままで暗いベトナムの負の遺産を数々紹介してきた、読者諸氏もさぞ暗澹たる気持ちで一杯と思います。
 これからは明るく爽やかな南国の風土を紹介して行こうと思う。
 午前中「クチ」のトンネルを見学した私たちは、ここからさほど遠くないメコンデルタ地帯の一つ「ミトー」と言う村に立ち寄って、食事とメコンデルタのクルージングを楽しんだ。
 ベトナム最南端のメコンデルタは、母なる大河「メコン川」の流末である。中国チベット自治区の青海省を源流として4、525kmラオス、タイ、カンボジャ国境を通り、その全量がベトナムから南シナ海に注ぐ。
 メコンデルタ地帯は関東平野の3倍もの広さがあり、ここで暮らす1800万人の人達は、船で縦横に行き来している。そしてここは、北緯8度の熱帯モンスーン地帯のど真ん中、メコン川から運ばれる肥沃な土壌と、水と太陽の恵みで、全ての作物が生き生きと生育し、ここでの米の生産高は、ベトナム全土の50%を占める程の穀倉地帯だ、なにしろここでは、お米が1年に三回も収穫される、特に果物や野菜の宝庫ともなっている。
日本はTPPで農産品をこれらの国々と交渉しても、全く歯が立たない事は明白であろう。

     ベトナム「メコンデルタ」の部分図  (昭文社刊ベトナムより引用)

 メコンデルタの島々、私達は対岸の「ミトー」と言う島に渡る。

      特産の果物が至る所に鈴なりに実っている

           快適な散策路、道の両脇は果樹園

           村では私達のために、音楽会を開いてくれた

           「ダン・バウ」(一弦琴) を演奏してみる

 ハーモニック奏法(倍楽)で弾く。一本の小さな棹をバイブレーションしながら、繊細で細やかな表現をつける、哀愁を帯びた寂しげな音色は、ベトナム人の心象風景を象徴するものと云われ、幅広く愛用されている。
  私は「荒城の月」を奏でてみた、拍手があったから好評だったかも知れない。ただしアンコールの声は無かった。

     小さな小舟に乗って、網の目のような水路をクルージングする

     熱いけれど明るい日が射し込んで何とも気持ちが良い

 このような所には、このようなツバ広の帽子がぴったり似合う。 帽子は1$(100円)

 「ココナツキャンディー工場を見学する」
 ここで採れたココナツの実を煮詰めて「飴」にして売っている。
 ベトナムではここだけでしか手に入らない特産品、すべてが手作業、家族総出で手造りする。  
 @ 釜で煮詰めた飴を板に広げ、程よく冷えたら棒状の金型に入れて冷やす

 A 冷えた棒状の飴を小さく刻んでゆく

 B手早くオブラートと紙に包んで、ビニールの袋に入れて包装する

       ココナツキャンディー製品 中国語で「椰子糖」と表示されている

 「閑話休題」 ニシキヘビを抱かせてくれた、東南アジアではどこの国でもやっているが、おとなしいとは言へ気持ちが悪い。人間の先祖は「猿」だという事が良くわかる。猿は蛇が天敵なのだ。

           今度は大型船に乗り換えて、メコン川本流に乗り出す、
 
 平成21年2月ラオスを訪ねた時、地元の船頭を雇ってメコン川をクルージングした時を思い出す。お気に入りの一枚を紹介しよう、
 平成21年2月3日 ラオス、パークセーにて船遊び この辺りのメコン川の水はきれい

 「象耳魚を食べる」 別名「エレファントフィシュ」、現地語では「カー・タイ・トウン」と名が付いているミトー特産の魚、象の耳のように大きく平たいから名が付いている、30cm程の大きさで白身魚、から揚げにしてあるから、身をほぐしてライスペーパーに包んで「ヌックマム」に付けて食べる、淡白な味で旨い。

 午後はまた川口近くまでクルージングを楽しみ、帰路についた。

続く