紀行

東海自然歩道を歩く(4)

鼠坂・石老山・篠原

 平成27年5月25日 池内淑皓

2015年(H27)2月18日(水) 7:30 横浜駅天理ビル前を定刻に出発する、天気予報は雨、高速道路に入って予想通り雨となった。途中JR相模湖駅でトイレ休憩の際雨具を着用する。相模湖ダムを越えて国道412号線を走る、ダムからすぐ鼠坂(ねんざか)に入り、石老山(694m)登山口に到着した。
 講師から登山に際しての注意事項で、特に今日は登行中雪の可能性があるとのコメントがあり、防寒対策と軽アイゼン着用の必要性を伝達される。
 ストレッチで体をほぐしたあと、3班に区分して歩く、班分けする理由は前を歩きたい人、後から歩きたい人等様々な希望があるので、公平を期するためである。
 この山が少し面白いのは、顕鏡寺に登る途中の奇岩怪石が珍しいのだ。顕鏡寺から上は雪交じりの天気となり、頂上は完全に雪であった、ベンチに雪が積もり、冷たくて座れないので立って昼食とした。
 頂上12:00発、雪が深くならないうちに休まず下山する。幸いゴールの篠原バス停は雨となって安堵した、これで中央高速道路は雪道にならないので、渋滞もなく帰れそうだ。「青根緑の休暇村いやしの湯」にゆっくり浸かって凍えた躰を温める。
横浜には予定通り16:30に到着した、終日雪交じりの冷たい雨で、何とも冴えない登山であった。

「東海自然歩道行程案内板」 今日は鼠坂→顕鏡寺→石老山→篠原と歩く

「東海自然歩道石老山概念図」  (東海自然歩道(武井岳男著) 山と渓谷社刊より引用)
 鼠坂から里山の遊歩道に入り、相模湖病院前に出る、バス停の石老山入口からは入らない(近回りであるが東海自然歩道ではないからだ)。
 奇岩怪石の中を顕鏡寺に到る、雑木の繁る尾根道を登行して石老山に到着、ここで昼食とするが頂上は雪だ。 午後は小雨が降っていたが、篠原までは快適な尾根道が続く。
 私達はここで迎えのバスに乗り帰路に就く、現在篠原バス停から相模湖駅、三ヶ木行きのバスはない。

 
「鼠坂登山道入り口」 国道412号線、鼠坂交差点が東海自然歩道の入口、交差点の傍らには鎌倉街道の碑と大山道の道標がある、またこの辺りは関所のあった所で、甲斐の国から相模の国へ抜ける重要な街道でもあった(嵐山の項で記述)。 私達はストレッチをしてお宮の前から出発した。

         石老山への登山道に入る、冷たい雨が降り続く

         少し雪が現れてきた、心持寒くなってくる。

「奇岩・怪石」現る、 「仁王岩」、「駒立岩」、「力試岩」、「文殊岩」等奇岩の間を縫って歩く。

この岩達、今から600万年前の第三紀層の礫岩(レキガン)で、深さ数千mもある岩溝に溜まった小石のかけらや、泥砂が地熱と地圧で固められてできた岩で、地殻の変動によって隆起し、地表に現れためずらしい自然の産物。 この種の岩石群で”さざれ石”は典型的なもの。

   
奇岩怪石の中を縫って歩く              「八方岩」

「蛇木杉」と「顕鏡寺山門」  顕鏡寺には、NHK朝ドラで有名な「花子とアン」で登場した情熱の歌人「柳原百蓮」 のお墓がある。 「妙光院心華白蓮大姉」 昭和42年2月没と墓碑に書かれている。

「蛇木杉」 樹齢推定400年、樹高20m 桃山時代からここに生育、根が蛇の形に似ていることから名付けられた。多分地表の土砂が流れて根が出たのであろう、津久井銘木の一つ

 
   
「顕鏡寺山門」           道志法師、源海法師が居住したと云う「岩屋」 虚空蔵尊を祀る
千百年余り前、宮人三条貴丞卿の若君「武庫郎」と八条殿の姫君の間に生まれた「岩若丸は、二人の再会の証として鏡を二つに割り、道志法師として諸国行脚の旅に出る、その後成長した岩若丸は、父母と再会し僧となって「源海上人」と号しここに居住。古い山から寺の号を石老山と唱え、鏡の由来から顕鏡寺と呼んだと伝える。    本尊:木造阿弥陀如来像は市の文化財

        顕鏡寺を過ぎると俄然雪が増えてくる、頂上近くは完全に雪道となった。

   
「石老山頂上(694m)」 この日は日本海側と太平洋側に二つ玉低気圧が発生、日本全土大荒れとなる、石老山頂上付近は雪で、終日氷雨が降っていた。
 今年は毎週のように二つ玉低気圧が発生している。東北地方で低気圧は一つとなり、北海道では暴風雪となる、中部山岳ではホワイトアウト現象(周囲が真っ白となり何も見えない)が発生する最も危険な気圧配置。

        
         高度が下がれば小粒の雨となり、ひょっこり篠原の部落に出る

   
「青根緑の休暇村 いやしの湯」に入り、冷えた躰を温める、露店風呂は垣で囲われ、山間の湯にしては程遠い風情の風呂だった。
 
                                                    この項完

[参考タイムを記す ]
 横浜天理ビル(7:30)--JR相模湖駅(9:00)--鼠坂登山道(9:10)--顕鏡寺(10:05-10:15)--石老山(11:40-12:00)--篠原バス停(13:20)--温泉(13:50-15:05)--横浜(16:30)

東海自然歩道を歩く(5)篠原・石砂山・西野々に続く