紀行

東海自然歩道を歩く(16)

田貫湖・長者ヶ岳・天子ヶ岳・上佐野

 平成28年1月25日 池内淑皓

 2015年(H27)10月30日(金) 横浜を11:26発の東海道線に乗車、熱海乗り換えで富士駅に昼過ぎ到着する。身延線乗り換え西富士宮駅で下車した、冨士浅間神社にゆっくり参拝したかったからである。
 今回の歩行は天幕持参をやめて民宿泊まりとした、ほぼ一日行程中の丁度良い位置に宿泊施設があるからと、三つも山頂を踏まなければならない起伏の多いコースであるから荷は軽い方が良いだろう。
 前泊は冨士浅間神社前の宿「山げん」(0544-27-2605)に泊まる。ゆっくり浅間神社をお参りしたいのと、天然記念物の「湧玉池」を見学したかったからだ、更に明日乗るバス停も目の前で好都合なのだ。

 2015年10月31日(土)冨士浅間神社前のバス停から、7:37発猪之頭行きのバスに乗り、前回(9/22)ゴールした「田貫湖入口バス停」に向かう。
白糸の滝入口までは乗客がいたが、以降私一人となった。乗る人がいないからバスの本数を減らされるのは、私達旅行者にとってはつらい、地元の人ももっと利用して欲しいものだ。
この路線バスは富士宮駅発猪之頭行き一日4本(7:35/11:40/15::50/17:40)のため注意が必要。猪之頭に旅館(水口屋)があるが、当日は満室で断られた(実態は一人客を泊めたがらないから)。
東海自然歩道を写真で歩いて行こう。

天子ヶ岳-上佐野-思親山-JR身延線井出駅-真篠-坂下-向田(鯨野)-徳間 広域概念図

田貫湖-長者ヶ岳-天子ヶ岳-上佐野分岐 地図

長者岳-天子岳-栃広橋-上佐野拡大図

平成27年10月30日(金)冨士浅間神社から見た富士山

御宿「山げん」の親父さんと一枚、左の赤い鳥居が浅間神社の鳥居

バスは予定通り 8:15到着(700円)、この先で左折して約30分、田貫湖畔に出る

湖畔の先、尾根が張り出している地点が東海自然歩道の入口、小田貫湿原からは張り出している
尾根を回り込むようにして自然歩道取り付きに出る、大きな案内板があるから迷うことはない。
山への取り付きは、いきなり木道の急登の洗礼を受ける。

自然歩道名物木枕(木道)の急登が終わると、やっと緩やかになって、快適な杉林の尾根を歩くようになる

田貫湖畔、休暇村富士からの登山道を合すると、富士と田貫湖が良く見えるようになる今日は薄曇りで富士山が今一つはっきりしないのが残念。

「長者ヶ岳(1335.7m)」 この高さまで登ると、木々は少し色づき始めていた、田貫湖から近いからであろうか、かなりのハイカーがこの山を往復していた。

私も長者ヶ岳頂上にて、一枚パチリ。

雑木林の中にちらほら楓が色づいている

「天子ヶ岳頂上(1,330m)」 どこが頂上か分からないほど幅広い尾根の中程にある案内板で、ここが頂上である事が判別できた。
天子ヶ岳と言う素敵な名前の由来を調べてみると、そこには京に住む皇女とこの村に住む炭焼きの松五郎にまつわる伝説があった。
二人はこの山里で睦まじく暮らしていた、「私が死んだらこの冠を都の見える山に埋めて欲しい」と言う皇女の願いを守ってこの山の頂に埋めた。
翌年、瓔珞(ようらく)、(玉を繋いだ飾り)に似た美しいツツジが咲いたと言う。皇女の化身と思われる優雅な花である。何となく冠を埋めたそれらしい祠が傍らにあった。
                    (東海自然歩道・武井岳男(山と渓谷社刊)より引用)

天子ヶ岳からの富士山、雲が上がってきた。

東海自然歩道は、長者ヶ岳と天子ヶ岳の鞍部に上佐野方面に下る道がある、今まで居たハイカー達は田貫湖に下るか、白糸の滝方面に下るかのいずれかで、上佐野に下る人は私一人であった。

   
驚くほど道が荒れている。人が通らないから当然かも分からないが、天子ヶ岳の斜面が大幅に崩れている、
補修がなされないようだから、道標は痛み、道は荒れ放題で枯葉が積もると道が分からなくなる。

   
昔の桟道は朽ちて土砂で埋まり、うっかり桟道に乗ると一緒に崩れ落ちてしまう。先人の踏み跡を忠実に外さないように歩いて行く。

谷筋のガラ場では赤ペンキの矢印を頼りに歩く。
長者ヶ岳にいた日本山岳会の方が、上佐野へ抜けるコースを通行止めにして、補修する計画があると教えてくれた、事故が起こらないうちに補修すべきだろうと思う、雨が降ったら危険。

小草里(オゾウリ)集落の栃広橋は15時到着となってしまった、下りに思わぬ時間を取られたようだ。
この村にあった釣り宿「富士屋」は経営者が他界し廃業。

   
上佐野の集落、バスはここから身延線の内船駅(ウツフナ)まであるが一日3本(6:53・
13:47・17:00)のみ。

今日の宿は「佐野清涼荘」 (料金は自炊、布団付で2,040円 お風呂も使える)
この宿は山梨県南巨摩郡南部町福士18505-2南部町役場(0556-64-3111)管理の施設で、文書で申し込みにより許可される。自炊であるが調理器具は揃っている、貸布団があるから、申請時時に申し込めば良い。
佐野地区でこれ以外に宿泊施設は無い、天使湖民宿村と書いている本もあるが、今は跡形もない。

[参考タイムを記す] 西富士宮、浅間神社前(7:38)-bus-→田貫湖入口(8:15)→東海自然歩道登山口(8:40)→長者ヶ岳(10:40/11:00)→上佐野への分岐(11:20)→天子ヶ岳(11:40/11:50)→上佐野分岐(12:10/12:30昼食)→栃広橋(14:55)→上佐野清涼荘(泊)15:15

この項完

東海自然歩道を歩く(17)上佐野・思親山・JR井出駅・真篠・鯨野に続く