平成28年9月20日 池内淑皓
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(社)日本ウオーキング協会発行「ウオーキングライフ」の7月~10月号に大々的に紹介された「アクティブ スポーツウオーク」。
紹介記事の中でトレイルウオーク、フットパスウオーク、トレックハイキングウオークについて私が歩いてきた「海外を歩く」、「東海自然歩道を歩く」の中からピックアップして紹介してみたい。
アクティブスポーツウオーク①ではスイスのトレイルウオークを紹介しました、アクティブスポーツウオーク②はニュージランドのフットパスウオークを紹介しました。
今回は「トレックハイキングウオーク」を紹介してみようと思う。
3.トレックハイキングウオーク
ウオーキングライフによれば、トレックとは「南アフリカのアフリカーンス語が語源で、牛車で旅行する事、苦労して旅行する意」と記述し、
高い山に登るのではなく、山麓周遊旅行や小登山を指す。特に登頂することに拘らず、山の中を歩く事を目的としている。ただし、結果的にその過程で山頂を通過する事もある。
「ハイキングとは徒歩旅行(遠足)、日常生活から離れての郊外散歩、里山歩き等の野外活動がハイキングと呼ばれている。リラックス効果を期待するとともに、健康増進、知らない地域の見聞や自然の風景、歴史的景観を楽しむウオーク、里山散策、高原散策、海岸散策がこれに当たる」と記されている
今私が歩いている「東海自然歩道を歩く」がこの項にピッタリなウオークではないかと思っている。
東海自然歩道は、明治百年記念事業として、環境庁が昭和44年発表された。東京の「明治の森高尾国定公園」から大阪池田市の「明治の森箕面国定公園」を結ぶ1,343km(総延長1,700km)のコースとなっている。
自然歩道は東海道に添ってつかず離れずの道となっており山あり、沢あり、観光スポットあり、古道あり、歴史的文化財等数多く点在している。
自然歩道と言う名前から遊歩道的なイメージを持ちやすいが、コースには厳しい箇所もたくさんあり、
日帰り出来ないコースも含まれる、バブルの頃は気軽に泊まれたコース上の公共施設、旅館、民宿等は
バブルがはじけた今、ほとんどが休業か廃業に追い込まれている。それらのハンデを乗り越えての東海自然歩道歩きは魅力一杯のコースだ。
私は2014年2月東京日本橋を出発して高尾に至り、2016年9月現在岐阜県の明智と言う場所に着いた。
全行程の約半分まで来た事になる、これから先未知の領域を歩くのが俄然楽しみになってきた。
今まで歩いてきた中で本題にふさわしい写真を紹介して、トレックハイキングウオークの回答としよう。
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高尾山の出発点に掲げられた案内板、愛知県では本ルートと中仙道を歩く恵那ルートに分かれる
また、滋賀県でも県内を歩いて、大津に至るコースと奈良県の櫻井、天理をめぐるコースに分かれる
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東海自然歩道東の起点
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「高尾山頂上」年間300万人が訪れると言うこの山、都心から山麓まで1時間で到着し、1,598種類の植物が茂る。トイレは自然環境にマッチする木造水洗で、ウオッシュレットが備わってる。
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自然歩道は道標に導かれて相模湖方面に向かう
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相模湖から石老山 、石砂山を通り、丹沢の尾根黍殻山、姫次、犬越路から西
丹沢に入る
このコースは東海自然歩道三大難所の一つで、避難小屋のみで水もない
このコース上には東海自然歩道中最高標高地点がある(1,433m)
私は天幕持参で神の川ヒュッテにキャンプを張った。(小屋は夏と団体客以外
開かない)
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菰釣山を越え、切通峠に出ると山梨県に入り、富士と山中湖が見えてくる
(茶色の帯は、東富士演習場で、茅場となり茅葺き屋根の供給場所)
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「桜咲く忍野八海」 外国人が一杯、爆買に遭遇した。
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自然歩道は、富士浅間神社前を通り鳴沢氷結から、青木が原の樹海に入る。
富士山の噴火で降った玉状の溶岩に苔が着く
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自然歩道は鳴沢の氷穴、風穴も通る、ここも外国人が一杯。
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青木が原の溶岩は磁気を含み、樹海に紛れ込むと方角を失う。
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紛れやすい道には個人で道標を作ってくれるから有難い
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本栖湖を過ぎ、田貫湖を過ぎると静岡県にかかる天子ヶ岳に登り、ここから愛知県境まで176.3kmの山道を登り下りする事になる。
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身延線の井出駅を通過して、2016年1月21日身延線の内船駅から奥山温泉をへて田代峠を越える。
寒々とした雪道の一日であった。
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田代峠を越えると、道は明るい駿河路となり、お茶の栽培が盛んになる
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南に谷を挟んで傾斜が広がり、北に山を背負う、湧き上がる雲が適度な湿り気を与えている
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東海自然歩道は茶畑の中が道となっている、お茶の香りがとても良い。
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「粋な看板と道標」 お茶を守るために歩道上に柵がある
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油山峠、清笹峠を越えれば大井川が近くなる
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「大井川」 富士川を越え、興津川を渡り、大井川を過ぎる。
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大井川に添って大井川鐡道が、金谷から井川までSLが定期運航している。私も50年振りに乗車し新金谷まで汽車の旅を楽しんだ。石炭を焚く臭いが何とも郷愁をさそう
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大井川を越えるとまた山道になり、身延から遠州森町に抜ける平松峠を越える。
山の中に大日山金剛院がある。昔はこの宿坊に一夜の宿を乞う事が出来たが、今は泊めない
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「春埜山大光寺」この辺りの尾根道には神社、お寺が多い。
大光寺は養老二年(718)行基が開山、小さなお寺であるが庫裡が立派、このお寺は境内の「大杉」が有名
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「秋葉山本宮秋葉神社」 全国にある秋葉神社の総本山。 標高866m、秋葉山の頂上に鎮座する。
創建は和銅二年(709)、戦国時代までは真言宗のお寺であったが衰退する。徳川家康と関係の深いお寺の住職「可睡斎」が、荒廃した塔頭を曹洞宗の別当寺として再建し、徳川家の庇護を受けた。綱吉の頃「火伏りの神」として全国的に信仰を集めるようになった。
東海自然歩道は秋葉山経由するコースとなっている。
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街道に面して「ヒラシロ遺跡」がある、縄文後期の遺蹟であると言う、この辺りは山深い場所であるから木の実、鹿、猪の類が多かったのであろう。
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東海自然歩道は天竜川を吊り橋で越える。ここを越えれば一山越えて愛知に向かう
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「静岡・愛知県境」静岡県内、山あり、谷あり林道ありの176.3kmを越え愛知県境に達する
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県境には秋葉山から秋葉街道(半僧坊)、これから歩く鳳来寺街道の標があった。
往古は賑わった街道も、今はハイカーが訪れるのみだ
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県境を過ぎ、阿寺の七滝辺りは川面すれすれに自然歩道が付けられており、木漏れ日の中を快適歩く事が出来る。
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親切過ぎる案内板 これだけ案内があれば迷う事はない
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「大野宿」県境を一気に下れば、大野宿に出る。
大野宿は別所街道と、秋葉山街道、鳳来寺街道を交差する要衝の地であった。旅人はまず鳳来寺に参拝し、大野宿に泊まって翌日秋葉山参りに向かったと云う。今は鉄道(飯田線)が引かれ、自動車が発達してくると宿場は急速にその使命を終えて行く。
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鳳来寺に向かう街道の道標。円柱状の道標は珍らしい
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「鳳来寺・東照宮」 江戸初期の建築様式を残す貴重な建物で 国指定重要文化財。
松平広忠夫人「於大」の方がこの寺の薬師如来に祈願して、家康が生まれたと伝える。その縁で三代将軍家光が造営した。
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「四谷千枚田」2016年6月8日 田の畦道を通って横浜に帰った
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2016年7月28日青々と繁る青田の中をかしあげ峠に向かった。
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「長篠の戦い合戦屏風」
今歩いているこの辺りの地名は、愛知県北設楽郡設楽町と言う地名で、戦国時代有名な「長篠の戦い、設楽原古戦場」の只中にいる。
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「馬防柵」 織田・徳川軍の正面に総延長2kmに渡り三重の場防柵をめぐらす
(この柵は合戦屏風にある位置と同じ。柵の手前に連吾川が流れる、後方の山は武田勝頼現地本陣)
宿将の一人「馬場美濃守信治」は勝頼に強く「一戦無用」と進言したが受け入れられず、騎馬により織田軍を粉砕することを決断する。鉄砲が導入され近代戦争の始まりであり、名門武田氏滅亡の始まりでもあった。
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自然歩道の山中に突然東海自然歩道のキロポストがあった、大阪まではあと600kmもある。
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「かしあげ峠
江戸時代伊那街道の一つで、天正元年(1573)野田城の合戦で病に倒れた武田信玄がここを通り甲斐に引き上げている歴史ある峠だ。
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鞍掛山、岩小屋山から田口にかけては東海自然歩道三大難所の一つで、切り立った岩稜が続く、
こんな厳しい道は自然歩道には不向きだ。
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ゴツゴツした瘤を正直に越えて行く。 この辺りの岩塊は、南北2kmにわたる。1500万年前設楽海底火山の溶岩だと云う、土地が隆起して安山岩の奇岩が生まれた
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「田口の集落」 愛知県北設楽郡設楽町田口、 岐阜県と長野県の県境に近いこの小さな町に役場の機能が残っている、観光協会もある。
江戸時代は三河の国設楽郡で天領。郡の90%は林業である、国有林がほとんどであるが外国材に押されて苦しい。昭和35年には15,000人いた人口が、平成22年には5,000人となってしまった、減る一方だと言う。
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「旧豊橋鉄道田口線跡」 飯田線の本長篠駅から田口駅まで鉄道が引かれていた、昭和43年廃線となる。 このトンネルは、往時の面影を今に残す(滝上バス停裏に残っている)
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「森林軌道敷跡」飯田線の本長篠駅から田口経由で段戸裏田谷まで気動車が走っていた、かつては木材の供給地であったが廃線となり、軌道敷跡がそのまま東海自然歩道となっている。
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光のパレット、緑のじゅうたん。何とも気持ち良い遊歩道だ
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「寧比曾岳」(1,121m)岐阜県境に近い愛知県では最北の山。東海自然歩道はここで北に岐阜県を越え、旧中仙道に入る「恵那ルート」と瀬戸市、春日井市を通る本コースに分かれる
私は恵那コースを歩く事にした(旧中仙道が懐かしいからまた歩きたい)
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「愛知・岐阜県境」自然歩道は長かった山の尾根を下り、矢作川を渡ると岐阜県に入る。
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岐阜の明智には大正ロマンの里がある、自然歩道はこの村に至る快適な尾根道が、私を案内してくれる。
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2016年7月31日(日)炎天下の中、明智駅に到着。
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「まとめ」長時間見て頂いてありがとうございます。東海自然歩道は写真のように変化に富み、地元の方々が真心こめた素敵な道づくりとなっています。通過県では道の補修、表示板の更新をたえず行っていますから、安心して歩く事が出来ます。後半も書くことが出来れば幸せです。
完 |
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