紀行

水戸街道を歩く(4)

取手宿~藤代宿~牛久宿

 平成29年3月30日 池内淑皓

2017年(H29)1月23日 上野駅を8:13発の常磐線快速に乗れば、取手駅には8:53に到着する。
寒い赤城颪(おろし)の強い風が吹いているが、まずまずの天気。いつものメンバーで歩く。

取手~牛久宿間地図 今回は黒点区間を歩く。

取手宿

取手宿~藤代宿~若柴宿~牛久宿間の行程図(3里30町・15km)

「取手駅」 8:53に到着した、寒いけど天気が良いから、早速歩き始める。 

「長禅寺」 まず初めに訪ねたい古刹、駅東口の高台にある。 境内には文化財の「三世堂」がある
大鹿山長禅寺、臨済宗妙心寺派。本尊:延命地蔵

     
「三世堂」宝暦13年(1763)に建てられた日本最古の“さざえ堂”。平将門の守り本尊である11面観音菩薩を安置する。外観は二層であるが、内部は三層になっており、1階が坂東33観音像を収める、2階は秩父33か所の34体観音像、3階は西国33か所の像を納め、計100体を安置。

街道に出ていきなりタイムスリップ。
奈良漬けで有名な「新六本店」と、造り酒屋の「田中酒造」が横並びにあり、宿の雰囲気を醸している

取手宿本陣・染野家住宅」(県文化財)寛政7年(1795)再建の重厚な入母屋造りの総茅葺の寄棟。 母屋、醤油蔵、釜場、塩蔵、穀蔵等が残る。 良くぞ残してくれた。  土、日祝開館

「八坂神社」寛永3年(1626)創建 祭神:素戔嗚命    本殿の彫刻が見事。

吉田、長兵衛新田、米田の中をゆく。JRの踏切を渡り、役場の先を直角に曲がると藤代宿に到着する。この辺りは国道6号線を歩く

「相馬神社」 宿の入口に鎮座、明治40年八坂神社と富士神社を合祀して生まれた藤代の総鎮守
社殿は慶応三年(1867)の再建

「藤代宿」 昔の面影は全くない、おばさんがいる店は脇本陣、この先に本陣跡がある

「藤代宿 本陣跡」 町役場建設の為本陣破壊。 本陣の説明板は駐車場前にある
木造カヤ葺き東破風造りの玄関であったが取り壊され、ここにある松が一株残されるのみとなった。 
事情はあるだろうが、町起こしの貴重な文化財が消えた。

「愛宕神社」 常夜灯は倒れたら困るからか、いたずらされたら困るからか分からないが、厳重に鉄柵に囲まれているが文化財ではない。

小貝川を文巻橋で渡り佐貫町に入る。この辺りは牛久沼の湿地が広がり、レンコンの栽培が盛ん。
JRを跨線橋で越え、関東鉄道竜ヶ崎線の踏切を渡ると馴柴小学校の前に出る。

「水戸街道道標」 馴柴小学校前交差点角に立派な道標が立つ
[布川3里、江戸13里、水戸16里] と彫られている。 寛政9年(1826)若柴宿の人達が建てた。
ここは牛久の湿地帯を避け、我孫子、布川、紅葉内を経て佐貫から来る道との合流点である。

牛久沼の湿地帯を抜ける、ここは上州から吹いてくる強い風が吹き抜け、常磐線をしばしば止める。
この湿地帯を脱した高台に若柴宿が取り残されて在る。
 
「若柴宿」大坂を登り、高台に出て鍵形に曲がると宿に入る。入口には八坂神社が鎮座。

「八坂神社」 村の産土

ひっそり取り残された街道には昔を偲ばせる建物が多い。

          
常磐線が開通すると、佐貫から線路沿いに道が出来、旅人は迂回する若柴の道を利用しなくなってしまったという。

文化財クラスの屋敷が並ぶ  (個人の家である) 

「金竜寺」 曹洞宗。 応永24年新田義貞の子貞氏が新田家の菩提寺として建てたものを、天正18年(1590)新田家の子孫「由良国繁」が牛久城主になったのでここに堂宇を立てた。
寺宝の「絹本着色十六羅漢像」は国指定重要文化財。

思わぬ所に道標。 南若柴、佐貫、藤代宿 ”女化” (おんなばけ)と読める。
「女化」は地図を見ると地名としてここから北東の蛇沼の先に女化町があり、女化神社もある。

「成井一里塚」 牛久沼の湿地帯、畑の中にあった。建物が建たないから残されたのだろう。
宿場を出て、向台小学校を回り込むように坂を下り、JR踏切を渡ると牛久宿に入る。

「牛久宿」 小さいながら山口氏の城下町で石高1万5千石、沼の辺にあった。
山口氏は尾張出身の山口重正が徳川家康から知行を得た。宿は常磐線牛久駅から1kmほど離れている。 天保12年(1841)には124軒を数え、水戸天狗党はこの宿に休泊したと言う。 

         
「牛久宿・明治天皇行在所の碑」 東北巡行の途次二回ここを通過している

「正源寺」曹洞宗 本尊:南無釈迦牟尼仏(おしゃかさま)
文禄元年(1592)牛久城主 由良国繁の発願により創建。 樹齢400年の栃の木が有名

創業慶応四年(1868)の看板を掲げる”トーフ屋”さん、いつまでも頑張ってほしい。

16:40夕暮れが近づいてきた。平成28年九州場所でご当地「稀勢の里」関(大関)が優勝。
お祝いを兼ねて居酒屋で温まって帰ろう。

        
この項完

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