紀行

東海自然歩道を歩く(43)
谷汲-妙法ヶ岳則松-横蔵寺

 平成29年6月6日 池内淑皓

2017年(H29)3月20日(月)・21日(火)
 昨年12月1日鹿穴峠から樽見線の「神海駅」到着で2017年の自然歩道歩きを終えた。冬季に伊吹山麓、関ヶ原方面を歩くのは積雪のため歩行困難であるから、3月の彼岸まで歩くのを控えた。
 お彼岸の今日、樽見線の谷汲口駅からバスで華厳寺(谷汲観音)に向かい、門前の宿に数日泊まり、ここを拠点に自然歩道を歩く事にした。ここは観音巡りの巡拝者のために、比較的バスの便が良いから便利だ。

今回歩行予定の全体図、出発は谷汲観音華厳寺、最終ゴールはJR垂井駅とした。

樽見線・谷汲口駅から華厳寺~横蔵寺~東津汲バス停まで概念図

岐阜駅から第三セクターの樽見鉄道に乗車、谷汲口駅まで行く。 ある時は里山の麓を走り、

或る時は、根尾川沿いに走る。列車はジーゼルカーで単線だ

大垣駅から谷汲口駅には40分程で到着する。
この鉄道は昭和59年(1984)国鉄樽見線が廃止され、第三セクター樽見鉄道となる。
全長34.5km、19駅。当初はセメントを運搬する鉄道であった。 

大垣方面から華厳寺(谷汲観音)参拝の為、電車の時刻に合わせて連絡バスが走っている。
バスは5分で着くが、歩いても1時間程で観音まで行ける。

華厳寺(谷汲観音)は西国33ヶ所結願の寺、門前町の参道もそれにふさわしく、仏具のお店が多い。

「旧名鉄谷汲駅舎」 昭和元年(1926)名鉄揖斐線の黒野から谷汲駅まで電車が走っていた。
平成13年(2,001年)輸送人員減少の為廃線。この駅舎は開業当時からの建物と言う。
 
プラットホームは開業当時のまま、車両は大正15年製 モ511が置かれている。

昭和3年(1928)製 モ755

谷汲では最も古い旅館で、華厳寺の仁王門前にある、源泉かけ流しの温泉が気持ち良い。
ここに三泊する事にした。
今日は早めの到着であるから、荷物を置いて華厳寺を訪ねてみよう。

        「華厳寺仁王門」 

「華厳寺」 西国33ヶ所巡礼結願の寺。
観世音菩薩は33の違った姿で現れて人々を救うと、法華経に記されている。 
巡礼の一番は大和長谷寺で、札所巡りは西国にあるこの数字と同じだけのお寺を回って、身を清め、極楽黄土の道を探す旅を言う。徳上上人が巡礼の創始者
(注:中世から巡礼の一番は青岸渡寺となっていますが、平安時代徳上上人が開基の長谷寺を一番と唱え、華厳寺の説明文にも記載されているので敢えて記述しました)

「谷汲山華厳寺本殿」 天台宗、本尊:十一面観世音
延暦17年創建、西国33番満願霊場、室町時代に焼失したが、明治8年豪泰法印が願主となって明治12年に再建された

          折角ここまで来たのだから、記念に一枚パチリ。

「笈摺堂」(おいずる) 結願となった信者は、ここにその証として身に着けていた笈摺を納める。
花山法王は次の歌を詠んでいる
”今までは 親と頼みし笈摺を 脱ぎて納むる 美濃の谷汲”

「満願堂」 満願をこのお堂に報告

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3月21日(火)雨、次の行程を考え、とにかく横蔵寺まで歩く予定で出発する

満願堂の前から、東海自然歩道の道標に従って山道に入る

奥の院まで寄進の地蔵が私を導いてくれる


「奥の院」 本殿の奥にあって、開山祖師の霊像や神霊などを祀る場所

高度を上げるに従って雪が見えてきた、伊吹山の裏はまだ寒い

一部雪道となってきた。

「妙法ヶ岳(666m)」 三角点があるが特に案内板、道標も無く、看板が一枚ぶら下がっているだけの寂しい山頂だ。

道が南斜面に向かうと雪も消える、雨が降りやまない。

「旧横蔵寺本堂」 現在の堂宇より山中に建てられた
平安、鎌倉期には、ここに寺院群があり、学問や文化の中心として栄えたと云う。今はその面影は全くなく、碑が一つ置かれているだけであった。

「伝熊谷次郎直実公の墓」 直実は鎌倉初期の源頼朝の御家人、源平の戦い「一ノ谷の合戦」で平家の公達平敦盛を討つが、敦盛が我が子直家と同じ年齢(17歳)と知り愕然とする。
世の無常を悟り仏門に入る。建久三年(1193)法然の弟子となり「法力房蓮生」となる。ここで没したことになっているが、本墓は熊谷寺(埼玉)、光明寺(京都長岡京市)にある。
今なぜここに熊谷次郎直実の墓があるかは不明。

横蔵寺前にバス停がある、このバスは巡礼者のために谷汲経由で揖斐駅まで走っているから、谷汲の宿に戻るには便利だ。終日雨が降りやまないので、今日はここで完歩としよう。

[参考タイム] 華厳寺(7:00)--妙法ヶ岳(8:30)--横蔵寺(11:20-11:32)--谷汲(11:50)

この項完

東海自然歩道を歩く(44)横蔵寺→下辻峠→東津汲バス停→谷汲に続く